実戦テスト!「この契約書、ヤバい箇所を3分で指摘せよ」

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ここで学べる学習用語:契約成立、意思表示の瑕疵、債務不履行、契約不適合責任、同時履行の抗弁権、消滅時効、債権譲渡、請負契約、優越的地位の濫用、印紙税(第16回〜第34回までの主要用語の総復習)

第35回: 抜き打ちテスト! 戦場を生き抜く「契約書の読解力」


1. 「俺、もう法務マスターっすよ!」…なんて言ってたら

前回、俺はビジラボが開発したSaaSにバグが見つかり、顧客のデータが飛ぶという最悪の事態を仮想体験した。幸いにも、それは神崎さんの「もしも」の話だったが、その時の衝撃は本物だった。俺は、神崎さんが語る『製造物責任法(PL法)』の恐ろしさと、『契約不適合責任』という売主の重い責任を肌で感じ、背筋が凍るような思いをした。

「いやぁ、まさかウチみたいなちっぽけなスタートアップが、そんな大企業のトラブルみたいな話に巻き込まれるとは…」 俺は額の汗を拭いながら、大きく息を吐いた。あの時、もし事前に『契約不適合責任』の条項をちゃんと確認していなかったら、無条件で全責任を負わされていたかもしれない。神崎さんに指摘されて、慌てて既存の契約書を見直したばかりだった。

「でも、おかげで少しは法務のカンが養われた気がするぜ!」 俺は一人、オフィスでPCに向かいながら、ふとそんなことを思った。この第2章に入ってからというもの、神崎さんのスパルタ指導のもと、俺は怒涛の勢いで『契約』と『債権』に関する知識を叩き込まれてきた。

『契約自由の原則』から始まり、『意思表示』の奥深さ、嘘や勘違いが契約にどう影響するかの『心裡留保』や『錯誤』。さらには、相手を騙す『詐欺』や、弱者を守る『消費者契約法』。口約束の怖さも知ったし、『印紙税』なんて経理担当の斉藤さんの専門分野だと思っていたものが、社長の俺にも関係する話だと初めて知った。 トラブルになったらどうするか? 『債務不履行』の種類、そして『契約不適合責任』。成果物の完成を約束する『請負契約』と、労働力の提供が目的の『委任契約』の違い。そして、会社の資金繰りを左右する『債権』の重要性と、それが時間と共に消えてしまう『消滅時効』の罠。 「そういや、前に資金繰りがピンチになった時、斉藤さんが『ファクタリング』って言ってたな。『債権譲渡』の仕組みもちゃんと教えてもらったから、今なら対応できるぜ!」 俺は、それらの用語がまるでジグソーパズルのピースのように、少しずつ頭の中で繋がっていく感覚を覚えていた。

「どうだ、神崎さん!俺もようやく、スタートアップの社長として、法務の入り口に立てたんじゃないっすか!?」 心の中でそう叫んだ瞬間、背後からスッと気配がした。振り返ると、そこにはいつものように無表情で、しかしどこか鋭い眼光を宿した神崎さんが立っていた。

「青木さん。随分と自信がついたようですね」 その声は、いつも通り静かだったが、俺の背筋には冷たいものが走った。まるで、俺の思考を全て見透かされているかのように。 「は、はは、まさか! まだまだっすよ、神崎さんには足元にも及びません…」 俺は慌てて取り繕ったが、時すでに遅し。神崎さんは手に持っていたA4ファイル数枚の束を、俺のデスクにストンと置いた。 「では、その成長ぶり、実戦で試してみませんか?」 差し出されたのは、真っ白な表紙に『業務委託契約書』とだけ書かれたファイルだった。 「これは、とある取引先から、ビジラボのSaaS開発業務を委託するにあたって提案された契約書です。青木さん、これを3分で読み込み、ビジラボにとって致命的なリスクを全て洗い出して、具体的な条項を指摘してください」 「さん、さん、3分ですかぁあああ!?」 俺の声が、東京のインキュベーションオフィスに響き渡る。冗談だろ、いくらなんでも短すぎんだろ! 以前の俺なら、きっとそんな契約書はまともに読みもせず、相手が大手だからと軽くサインしていただろう。だが、今の俺には、それがどれだけ危険な行為か、骨身に染みてわかっていた。 「社長、大丈夫ですか…?」 向かいの席から、経理担当の斉藤さんが心配そうな顔で俺を見ている。斉藤さんも、この第2章で、売掛金の管理から印紙税の話まで、法務が経理業務に密接に関わっていることを学んできた。彼女の視線が、俺をさらに追い詰める。 「は、はい! や、やりますっ!」 俺は生唾を飲み込み、震える手で契約書を手に取った。

2. 「3分で地雷を探せ!」契約書に潜む罠

「よし、やるぞ…!」 俺は心の中で自分を奮い立たせた。時計は神崎さんのスマートウォッチで、俺の正面に置かれている。カチ、カチ、カチ…。その秒針の音が、まるで俺の心臓の鼓動のように大きく聞こえる。 契約書をめくる。うわ、文字ちっせぇ…。いきなり目に入ってくるのは、びっしりと並んだ条文の数々だ。第1条、第2条…。全部で20条くらいある。これを3分で全部読んで、リスクを洗い出すなんて、無理ゲーにもほどがあるだろ!

でも、俺は以前の俺じゃない。 『めんどくせぇ』と投げ出すことはしない。神崎さんに教わった知識が、俺の頭の中に断片的に浮かび上がってくる。 「そうか、まず重要なのは『契約の目的』と『業務範囲』だ。ここが曖昧だと、後々『この仕事は契約範囲外だ』とか『成果物が要求を満たしていない』とかで揉める原因になるんだっけ…」 俺は第1条を凝視する。「甲は、乙に対し、本件SaaS開発業務を委託し、乙はこれを承諾した。」…うん、シンプルすぎて、かえって曖昧か? 具体的な開発内容や成果物の定義がない。

次に目を引いたのは、債務不履行や契約解除に関する条項だ。 「第10条:乙は、成果物に不具合(以下『契約不適合』という)が発見された場合、納品後7日以内に甲に通知するものとし、甲は、乙の費用負担においてこれを修正請求できるものとする。」 「7日以内!?」 俺の目に、真っ先にこの数字が飛び込んできた。これはヤバい。 「これ、神崎さんが前に言ってた『契約不適合責任』の話じゃねぇか! 以前の民法(瑕疵担保責任)では期間は短かったけど、今の民法では原則1年間。それを勝手に7日に短縮してるってことだろ? しかも、不具合を発見したら、ウチ(乙)の費用負担で修正するって、これも一方的すぎる!」 俺は、第23回で学んだことを思い出し、この条項に大きく赤線を引いた。

さらに読み進める。 「第15条:乙は、本契約に基づき甲に対し発生する債権について、事前に甲の書面による承諾を得た場合を除き、第三者に譲渡してはならない。」 「うわあああ、これだ!」 第31回で学んだ『債権譲渡』の話を思い出した。ファクタリングを使って資金調達しようと思った時に、この条項があると、事実上できなくなる。これもビジラボにとって致命的な資金繰りのリスクだ。 「『債権譲渡対抗要件』がどうとか言ってたけど、契約で禁止されたらアウト、だったよな…」 俺はもう一つの赤線を引いた。

時間がない。あと1分。 「なんだこれ…『第18条:本契約に関する一切の紛争は、東京地方裁判所を専属的合意管轄裁判所とする』…これは、前に学んだ『裁判所』の管轄の話か? ウチは東京だからいいとして、相手が遠いと揉めるんだったよな。あと、『ADR』とかもあったっけ…」 頭の中がごちゃ混ぜになる。これは即座に致命的というわけではないが、もしもの時にコストがかかる可能性がある。

「青木さん、時間です」 神崎さんの冷静な声が、俺の思考を打ち切った。俺は大きく息を吸い込み、汗だくの顔で神崎さんを見上げた。 「は、はい…っ!」

3. 神崎メンターの契約書解体新書

「では、青木さん。あなたが洗い出したリスクを説明してください」 神崎さんの指示に、俺はしどろもどろで話し始めた。 「えっと、まず第10条の『契約不適合責任』の期間が7日っていうのは、あまりにも短すぎると思います。これはウチにとって不利です!」 「それから、第15条の『債権譲渡禁止条項』! これがあるせいで、もしウチが資金繰りで困った時に、ファクタリングとかで債権を売却できなくなります。これも致命的っす!」 俺は自分が引いた赤線を指差し、必死に説明した。

神崎さんは静かに頷き、俺の話を聞き終えた。 「良い点に気づきましたね。特に『契約不適合責任』の期間短縮と『債権譲渡禁止条項』は、確かにビジラボにとって大きなリスクです。しかし、まだ見落としている部分がいくつかあります。では、一つずつ確認していきましょう」

神崎さんは俺の契約書を手に取り、一つずつ丁寧に解説を始めた。その言葉はまるで、契約書という暗号を解き明かす鍵のようだった。

【神崎の法務レクチャー】

「まず、最も基本的なことですが、この契約書は『契約の目的』が曖昧すぎます」 神崎さんは、契約書冒頭の第1条を指差した。 「『本件SaaS開発業務を委託する』とありますが、具体的に何を開発するのか、どのような機能を持たせるのか、成果物の基準は何か、が全く定義されていません。これは第16回で学んだ『契約の成立』の根幹に関わる問題です。『申込み』と『承諾』が、具体的に何を対象としているのか不明確では、後々『言った言わない』のトラブルになる可能性が高い。これでは、仮に『債務不履行』が発生したとしても、何が履行されたのか、何が不履行なのかを判断することすら困難になります」

俺は、いきなり最も基本的な部分を指摘され、愕然とした。言われてみれば、具体的な仕様書や要件定義書への言及が一切ない。 「うわ…俺、いきなり根本を見落としてた…!」

「次に、青木さんが指摘した第10条『契約不適合責任』についてですが、期間の短縮だけでなく、もう一つ問題があります」 神崎さんは続けた。 「『乙の費用負担においてこれを修正請求できる』という部分です。本来、『契約不適合責任』において、買主(この場合は委託者である甲)は、売主(ビジラボ)に対して『追完請求』(修正や代替品の請求)や『代金減額請求』ができますが、その費用は売主が負担するのが原則です。しかし、この条項では、まるで甲が費用を負担するように読めてしまいます。これは文言の解釈が非常に危険で、もし甲が『修正費用は乙が負担してくれ』と言ってきたら、ビジラボにとって一方的に不利になります」

【神崎の補足解説】契約不適合責任(けいやくふてきごうせきにん)とは?

売買契約や請負契約において、引き渡された目的物や成果物が、種類、品質、数量に関して契約の内容に適合しない場合に、売主(請負人)が負う責任のことです。これは2020年4月に施行された改正民法で、旧来の「瑕疵担保責任」から変更されました。契約に適合しない点があれば、買主は「追完請求(修理や代替品の請求)」「代金減額請求」「損害賠償請求」「契約解除」ができます。ビジラボがSaaSを提供する場合、納品したシステムが仕様を満たさない、バグが多いといったケースでこの責任を負う可能性があります。

「また、第12条を見てください。『乙は、甲に対し、成果物の納品完了後、甲による検査合格を以て、成果物の引渡しを完了したものとする。』この条項にも問題があります」 神崎さんは、別の条項を指差した。 「これは、甲がいつまでも検査を終えなければ、永遠に『引渡し』が完了しないリスクをはらんでいます。そうなれば、いつまでも支払いが行われないことにも繋がりかねません。これは第21回で学んだ『同時履行の抗弁権』の原則に反する可能性が高い。ビジラボは成果物を納品する義務と、対価を受け取る権利が同時に発生すべきです。しかし、この条項では、支払いが甲の裁量に委ねられ、一方的に履行が遅延するリスクを負います」

【神崎の補足解説】同時履行の抗弁権(どうじりこうのこうべんけん)とは?

双務契約(契約当事者双方が義務を負う契約)において、相手が自身の義務を履行するまで、自分も義務の履行を拒否できる権利です。例えば、売買契約で「物を受け取っていないのに、先に代金を支払う必要はない」と主張できる権利です。ビジラボがSaaS開発の「請負契約」を結んだ場合、成果物を納品する義務と、対価を受け取る権利は、原則として同時に履行されるべきものです。相手が支払いを渋るなら、ビジラボも無理に納品する必要はない、という正当な主張ができる根拠となります。

「そして、青木さんが指摘した第15条『債権譲渡禁止条項』ですが、これもその通りです。民法改正により、譲渡制限特約があっても原則として債権の譲渡は可能になりましたが、譲受人(債権を買い取る側)が特約の存在を知っていたり、知ることができた場合には、譲受人は債務者(この場合は甲)に対して債権の履行を請求できなくなるなどの制約が生じます。実務上、ファクタリング会社も敬遠しますので、ビジラボの資金調達の選択肢を狭めることになりますね」

「第13条、『乙が本契約の義務を履行しない場合、甲は催告なしに本契約を解除できる』という条項も危険です」 「え、催告なしに…!?」俺は思わず声を上げた。 「本来、『債務不履行』による契約解除は、原則として相手に一度『履行を催告(請求)』し、それでも履行しない場合に初めてできるものです。しかし、この条項は、ビジラボのわずかな不履行に対しても、催告なしに即座に解除されるリスクを負います。これは第22回で学んだ『債務不履行』による『契約の解除』のルールを一方的にビジラボに不利な形で変更しています」

神崎さんはさらに、契約書の冒頭に戻り、印紙税に関する条項がないことに触れた。 「この契約書は、開発委託契約として『請負に関する契約書』に該当し、課税文書となる可能性があります。その場合、『印紙税』が発生しますが、どちらが負担するかの記載がありません。通常は折半ですが、もし記載がなければ、税務署からの指摘が入った際に、トラブルになる可能性があります。第20回で学んだ『印紙税』の基本ルールを思い出してください」

最後に神崎さんは、第2章で学んだ『独占禁止法』や『下請法』の視点から、この契約書の全体的なバランスについて言及した。 「この契約書全体を俯瞰すると、甲(委託者)に一方的に有利な条項が多く、乙(ビジラボ)に不利な義務やリスクを押し付けている傾向が見られます。もし甲が大企業で、ビジラボが相対的に弱い立場にある場合、これは『独占禁止法』の『優越的地位の濫用』、あるいは『下請法』に抵触する可能性すらあります。第33回と第42回で学んだ知識です」 「契約自由の原則があるとはいえ、社会的に不公正な取引は許されません。中小企業を守るための法律は、そうした不均衡を是正するために存在します。自社が不利な立場に置かれていないか、常に注意深く契約書を読み解く必要があります」

俺は神崎さんの解説を聞きながら、契約書全体が、まるで罠だらけの迷路に見えてきた。 一つ一つの条項が、それぞれの法律用語と密接に結びついていて、互いに影響し合っている。まさに、神崎さんが「地図」だと言った意味が、ようやく腹落ちした気がした。

4. 俺の反省と、法務は「盾」であり「地図」であると知る

神崎さんの解説を聞き終えた俺は、ぐったりと椅子に凭れかかった。 「はぁ…俺、全然わかってなかったっす…」 俺が指摘できたのは、全体のごく一部に過ぎなかった。しかも、指摘した内容も、神崎さんの解説によって、その根底にある法的な意味や、他の条項との関連性まで深く理解できた。

でも、以前のような「全然わかんねぇ…」という絶望感はなかった。 「あの『契約不適合責任』の話だ!」「これは『同時履行の抗弁権』だな!」「『債権譲渡』の話、そうだった!」 神崎さんが解説するたびに、俺の頭の中に、第2章で学んだ様々な用語が鮮明に浮かび上がってきた。バラバラだった知識のピースが、一つ一つ、カチリと音を立てて繋がっていく感覚。 それはまるで、これまでぼんやりと見ていた風景が、急にピントが合って鮮明に見えるようになったかのようだった。

「青木さん」 神崎さんの声が、俺を現実に引き戻した。 「契約書は、単なる紙切れではありません。それは、未来に起こりうる紛争を予測し、そのリスクをいかに分配するかを定めた、いわば事業の地雷原を示した地図です。そして、その地雷原を安全に進むためのであり、時に武器にもなり得る」 神崎さんは淡々と言葉を続けた。 「これまで第2章で学んできた『契約成立』の基本、『意思表示』の有効性、『債務不履行』や『契約不適合責任』といった紛争時のルール、『債権』の管理、そして『独占禁止法』や『下請法』のような取引の公平性を守る法律。これらは全て、この契約書のどこかに潜んでいます。そして、どこに地雷が埋まっているか、どう回避するか、どう交渉するかを教えてくれるものです」

「地雷原の地図…盾…」 俺は、自分のデスクに置かれた契約書を改めて見つめた。 そうだ、俺が読んでいたのは、相手側が用意した契約書だ。当然、相手にとって有利な条項が盛り込まれている。この「地図」を読み解く力がなければ、俺たちは常に相手の都合のいいように、地雷だらけの道を歩かされることになる。 「そっか…『ルールだから守る』んじゃなくて、『自分たちを守るために、ルールを理解して、必要なら作り直す』ってことなんすね…」 俺は深く頷いた。法務は、決して面倒な「縛り」なんかじゃない。俺たちの情熱という「船」を沈めないための「航海術」であり、事業という「城」を守るための「最強の盾」なのだ。 「今まで、用語だけを覚えて、知った気になってた部分がありました。でも、今回の実戦テストで、それがどう具体的な契約書の中で活きてくるのか、どうビジラボを守る術になるのかが、やっと分かった気がします」 俺は神崎さんにそう告げた。その言葉は、俺自身の心からの気づきだった。

5. 確かな手応えと、次のステージへ

神崎さんは、俺の言葉に、ごくわずかに口角を上げたように見えた。 「その気づきが重要です、青木さん。短時間でよくここまで考察できました。以前のあなたなら、きっと『めんどくさい』と投げ出していたでしょうから、その成長は評価に値します」 神崎さんの言葉は、俺にとっては最高の褒め言葉だった。俺の顔に、疲労の中にも達成感が浮かぶ。 「ありがとうございます! いやー、今回ばかりは焦りましたけど、すげえ勉強になったっす! 法務、マジで奥が深いっすね…」 斉藤さんも、俺の顔を見てにこやかに頷いた。 「社長、お疲れ様でした。これで次からは、もっと安心できますね」 「ああ、斉藤さん! これからは、どんな契約書が来ても、二人でリスクを洗い出して、ビジラボを守っていくぞ!」

俺は、法務が単なる「義務」ではなく、事業を「戦略的に守り、そして攻める」ための必須ツールであることを改めて実感した。 第2章を通じて、俺は契約と債権に関する多くの知識を得た。それは、ビジネスという荒波を乗り越えるための、確かな一歩となったはずだ。 「よし、もっと勉強して、いつか俺自身が、ビジラボにとって最強の『法務の盾』になってやる!」 俺は固く拳を握りしめ、新たな決意を胸に誓った。神崎さんはそんな俺を見て、静かに微笑む。 「期待していますよ、青木さん。あなたのビジラボの、そしてあなたの旅は、まだ始まったばかりですから」


2. 記事のまとめ

📚 今回の学び(神崎メンターの総括)

  • [学習ポイント1]: 契約書は事業のリスクマップ:契約書はただの書類ではなく、未来に起こりうるトラブルを予測し、そのリスクをどう分担するかを定める重要な文書です。各条項が法的な意味を持ち、自社にとって有利か不利かを読み解く力が求められます。

  • [学習ポイント2]: 「実戦」で知識は血肉となる:第2章で学んだ「契約成立」「意思表示」「債務不履行」「契約不適合責任」「同時履行の抗弁権」「債権譲渡」「下請法」などの知識は、具体的な契約書の条項と紐付けて初めて真価を発揮します。単なる暗記ではなく、実務での活用法を理解しましょう。

  • [学習ポイント3]: 法律は「縛り」ではなく「盾」:法律は事業活動を制限するものではなく、むしろ自社を守り、公正な取引を保証するための「盾」であり「武器」です。契約書の不利な条項を指摘し、交渉する力は、スタートアップの成長に不可欠な経営スキルです。

今週のリーガルマインド(神崎の教訓) 「法律を知らないことは、地図もコンパスも持たずに嵐の海へ出航するのと同じです。あなたの情熱という『船』を沈めないために、私たちは『法』という航海術を学ぶのです。そして、契約書とは、その航海の『海図』に他なりません」

💭 青木の気づき(俺の学び)

  • 今回の抜き打ちテストは本当に焦ったけど、そのおかげで、これまで学んできた法務知識が「点」じゃなくて「線」として繋がった気がする! 契約書は、相手が作ったものだと相手にとって都合がいいように作られてるって当たり前のことに、改めて気づけた。
  • 法務って、ただ「ルールを守る」ことだと思ってたけど、そうじゃないんだ。「自分たちを守るために、ルールを理解して、必要なら自分たちに有利なルールを作っていく」っていう、もっと攻めの姿勢が必要なんだって分かった。よし、次からはもっと積極的に契約書にツッコミを入れてやる!

3. 次回予告

🔮 次回予告

今回の抜き打ちテストを乗り越え、法務知識を着実に身につけてきた俺。ビジラボのSaaSも順調にユーザーを増やし、いよいよ本格的な事業拡大期に突入だ!

新しいプロモーション戦略を練る中で、田中が開発した画期的なアルゴリズムや、ビジラボのブランド名やロゴが「唯一無二」であることを強調したいと意気込む。だが、神崎さんが静かにこう問いかける。

「青木さん、このビジネスモデル、『知的財産権』で守らなくていいんですか?」

俺は「知的財産権? 特許とか商標とか、そんな大企業の話だろ?」と首を傾げるが、神崎さんは「それは大きな誤解です。あなたのアイデアこそ、法律で守るべき財産なのです」と、俺の無知を冷静に指摘するのだった。

次回: 第36回 「アイデア」を守れ! 知的財産権と産業財産権

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