大手からの「無償でやれ」攻撃。「下請法」で我が身を守れ!

ここで学べる学習用語:下請法(下請代金支払遅延等防止法)、独占禁止法(優越的地位の濫用)
第42回: 大手からの「無償でやれ」攻撃。「下請法」で我が身を守れ!
今回の学習のポイントは、大企業との取引において、スタートアップであるビジラボが不当な扱いを受けないための法的知識を習得することだ。夢の大型案件が、まさか自社の首を絞める罠になるとは。俺、青木健一は、法務という「盾」がなければ、いかに無力かを痛感することになる。
1. 夢の大型案件、まさかの地獄絵図
「社長!やりましたよ!ついに大手との契約を勝ち取りました!」
田中と斉藤が興奮冷めやらぬ声でオフィスに飛び込んできたのは、数日前のことだった。俺も狂喜乱舞した。大手SIerである『フロンティアテック』との協業が決まったんだ。ビジラボが開発した業務効率化SaaSを、フロンティアテックの顧客ネットワークに乗せて一気に展開する。しかも、大規模カスタマイズまで請け負うという、まさに青木健一が描いていたビジョンそのものだった。
「うおおお!ついにビジラボの時代が来たか!田中、斉藤、お前ら最高だぜ!今夜はパーッと飲みに行くぞ!」
興奮して声を張り上げる俺に、斉藤が心配そうな顔で近づいてきた。
「社長、もちろん嬉しいのは山々なんですが……いくつか、先方から提示された契約条件で、気になる点がありまして……」
「なんだ、斉藤。せっかくの祝杯だ、水を差すなよ。大企業相手なんだから、細かい調整はつきものだろう?そこは俺がなんとかするさ!」
俺は鼻息荒く言ったが、斉藤の表情は晴れない。
「いえ、細かいというより、ちょっと、その……看過できないレベルで、ビジラボにとって不利な条件ばかりでして。たとえば、提示された単価が、私たちの見積もりより3割も低いんです」
「3割!?」
俺は耳を疑った。確かに、大企業との取引だから多少のディスカウントは覚悟していたが、まさかここまでとは。
「さらに、納品後の不具合対応は全て無償。加えて、サービス改善のための追加開発についても、初期契約範囲内の場合は追加費用なし、と」
「はぁ!?そりゃ無理だろ!ウチのエンジニアはボランティアじゃねえんだぞ!」
俺はテーブルを叩きつけた。夢の大型案件が、一瞬にして悪夢に変わるのを感じた。
「あの、社長……あと、納品後の検収期間が異様に長い上に、途中で何度でも仕様変更可能、しかもその際も追加費用は発生しない、と」
斉藤が読み上げる契約書の内容は、あまりにも一方的だった。まるで、ビジラボはフロンティアテックの「下請け」として、言いなりになれと言っているようだった。
「マジかよ……おい、田中!お前、これ見てどう思う!?」
俺は横にいた田中を振り返った。田中も困惑した表情だ。
「え、僕ですか?いや、技術的には不可能じゃないですけど……追加開発無償ってなると、さすがに開発チームのモチベーションも保てないと思います。しかも、検収期間が長ければ、次の案件にも着手しにくくなりますし……」
田中の言葉に、俺はさらに胃がキリキリと痛み始めた。これでは、まさに「ブラック企業」に食い物にされる中小企業じゃないか。だけど……フロンティアテックだぞ?業界最大手。ここで実績を作れば、ビジラボの名は一気に広まる。このチャンスを逃すわけにはいかない。
「でも、これはチャンスなんだ!田中、斉藤、わかってくれ!ここは踏ん張りどころだ!最初は多少の無理は承知の上で、食らいつくしかないんだ!」
俺は必死で二人に訴えかけた。だが、二人とも複雑な表情で首を横に振る。
「社長、確かにチャンスかもしれません。でも、この条件では、たとえ契約が取れても、ビジラボの経営が持ちません。この案件だけで、赤字転落は確実です。それどころか、開発チームの疲弊で、他のサービスまでクオリティが落ちてしまうかもしれません……」
斉藤の言葉は、俺の楽観主義を打ち砕くには十分だった。目の前の「チャンス」という餌に食いつけば、会社全体が共倒れになる。
「クソッ……じゃあ、どうしろって言うんだよ!?この契約を蹴ったら、フロンティアテックを敵に回すことになる。そんなこと、今のビジラボにはできない!」
俺は頭を抱えた。このまま飲んだら死ぬ。飲まなかったら、それもまた死ぬ。大企業との取引って、こんなにも理不尽なものなのか。俺は、大企業が提示する契約書は、絶対的なものだと思い込んでいた。そこに異を唱えるなんて、ビジネスの世界ではご法度だと。一体どうすればいいんだ……。
2. 「それ、致命的に間違っています」メンターの一喝
俺が絶望の淵に立たされていると、オフィスの扉が開き、神崎さんが入ってきた。相変わらずクールな佇まいだ。
「あら、どうしました、皆さん。随分と深刻な顔をしていますね」
「神崎さん……それが、フロンティアテックとの協業の話で、とんでもない契約条件を突きつけられて……」
斉藤が事情を説明した。神崎さんは黙って斉藤から契約書のコピーを受け取ると、ざっと目を通した。その眉間に、わずかに皺が寄ったように見えた。
「なるほど……青木さん、まさかこの条件をそのまま受け入れるつもりだったのですか?」
神崎さんの声は静かだったが、その中に有無を言わせぬ響きがあった。
「え、いや……もちろん、何とか交渉はしようと思ってましたけど……大企業相手じゃ、たぶん無理というか、こちらの立場が弱いので……」
俺がしどろもどろに答えると、神崎さんの視線が真っ直ぐに俺を射抜いた。
「青木さん、その認識は『致命的に』間違っています」
神崎さんの言葉に、俺は背筋が凍った。
「これは単なる『不利な条件』の問題ではありません。もしこの契約がそのまま実行されれば、フロンティアテックは明らかに法律に違反する行為を行っていることになります」
「法律……違反?俺たちが、ですか?」
「いいえ。フロンティアテックが、です」
神崎さんは俺の目の前に契約書を突き出した。
「あなたは今、『大企業だから』『相手の立場が強いから』と諦めようとしていましたね。しかし、日本の法律は、必ずしも立場の弱い者が泣き寝入りするようにはできていません。特に、あなたのような中小企業を、不当な取引から守るための法律が存在します。それが、このケースで重要な『下請法(下請代金支払遅延等防止法)』、そしてより広範な概念として『独占禁止法(優越的地位の濫用)』です」
俺は「下請法」?「独占禁止法」?と、初めて聞く言葉に頭が真っ白になった。法律が、俺たちスタートアップを守ってくれる?そんなバカな……。大企業相手に、弱者が立ち向かえる法律なんて、あるのか?
3. 神崎の法務レクチャー:大企業の理不尽から身を守る盾
【神崎の法務レクチャー】
「青木さん、『下請法』という法律を聞いたことはありますか?正式名称は『下請代金支払遅延等防止法』と言います。この法律は、大企業である『親事業者』が、あなた方のような中小企業である『下請事業者』に対して、優越的な地位を濫用して不当な要求をすることを防止し、下請事業者を保護することを目的としています」
神崎さんは、フロンティアテックから提示された契約書を指しながら、冷静に説明を始めた。
「まず、フロンティアテックが『親事業者』に、ビジラボが『下請事業者』に該当するか、という点が重要です。下請法が適用されるかどうかは、取引の内容と資本金の額によって決まります。例えば、情報成果物作成委託や役務提供委託の場合、親事業者の資本金が3億円超であれば、下請事業者の資本金が3億円以下であれば下請法が適用されます。フロンティアテックの資本金が3億円を超え、ビジラボが3億円以下である場合、この下請法は確実に適用されます」
俺は必死で頭の中でフロンティアテックの企業情報を思い出した。間違いなく資本金は3億円をはるかに超えている。ビジラボは設立したばかりで資本金は数百万円だ。
「マジですか……じゃあ、ウチは『下請事業者』ってことになるんですか?」
「その通りです。そして、下請法は親事業者に対して様々な義務を課し、同時に禁止行為を定めています。フロンティアテックの提示した契約書には、明らかに禁止行為に該当する条項が複数見受けられますね」
【神崎の補足解説】下請法(下請代金支払遅延等防止法)とは?
目的: 親事業者の下請事業者に対する優越的地位の濫用行為を規制し、下請事業者の利益を保護し、公正な取引慣行を確立することで国民経済の健全な発展に寄与する法律。
適用対象: 親事業者(大企業等)から下請事業者(中小企業等)への取引において、資本金基準に応じて適用される。例えば、情報成果物作成委託や役務提供委託の場合、親事業者の資本金が3億円超であれば、下請事業者の資本金が3億円以下であれば下請法が適用される。
ビジラボへの影響: ビジラボが上記の条件を満たす場合、フロンティアテックは下請法の規制を受け、青木さんが直面している不当な要求は違法となる。
「下請法では、親事業者には書面の交付義務、下請代金の支払期日を定める義務など、いくつかの『義務』があります。そして何よりも重要なのが、『親事業者の禁止行為』です。青木さん、今回のフロンティアテックの要求は、まさにこの禁止行為の典型例ですよ」
神崎さんはフロンティアテックの契約書を読み上げ始めた。
「まず、単価を3割引き下げるという要求。これは『買いたたき』に該当する可能性があります。下請事業者が通常支払われる対価に比べ著しく低い下請代金を不当に定める行為は、禁止されています」
「うわ……マジでそうなるのか」
「次に、納品後の不具合対応や追加開発を無償で行わせるという条項。これは『不当な給付内容の変更及びやり直し』に該当する可能性が高いです。親事業者が下請事業者に責任がないのに、発注時に定めた給付内容を一方的に変更させたり、やり直しをさせたりして、下請事業者の費用を負担させることは禁止されています」
「まさしく、俺たちが直面してる状況そのものじゃないですか!」
俺は興奮気味に言った。
「その通りです。さらに、検収期間を異様に長く設定し、その間に何度でも仕様変更を可能とする条項。これは『受領拒否』や『不当なやり直し』に繋がりかねません。親事業者は、下請事業者が納品した成果物を受領しなければなりませんし、検査に合格した後は直ちに受領しなければなりません。検収期間を不必要に長く設定し、その間を盾に不当な要求を続けることは許されません」
神崎さんは一度区切って、水を一口飲んだ。俺は、まるで呪文のように、神崎さんの言葉を頭に叩き込んだ。
「もしフロンティアテックがこれらの禁止行為を行った場合、公正取引委員会は親事業者に対して、その行為を止めるよう『勧告』を出すことができます。勧告が出されれば、企業イメージへの打撃は計り知れません。場合によっては、立ち入り検査や改善指導、さらに悪質な場合は、企業名が公表されることもあります」
「公正取引委員会……企業名が公表……そんなことになったら、大企業でもダメージはデカいでしょうね」
俺はゴクリと喉を鳴らした。これは、弱者が使える、思いがけない「武器」だ。
「次に、『独占禁止法(優越的地位の濫用)』についてです。下請法は非常に強力ですが、適用される取引の範囲が資本金基準によって限定されます。もし、何らかの理由で下請法が適用されないケースであっても、より広範な『独占禁止法』によって、大企業からの不当な圧力を防ぐことができる場合があります」
【神崎の補足解説】独占禁止法(優越的地位の濫用)とは?
目的: 事業者の公正かつ自由な競争を促進し、国民経済の民主的で健全な発展を促進することを目指す法律。
優越的地位の濫用: 独占禁止法が禁じる不公正な取引方法の一つ。自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して、正常な商慣習に照らして不当に相手方に不利益を与える行為。
- 優越的地位の判断要素: 相手方にとって取引先変更が困難か、取引規模の格差、依存度、代替性の有無など。
- 濫用行為の例: 買いたたき、不当な返品、不当な協力金要求、不当な契約解除など。
ビジラボへの影響: たとえ下請法が適用されなくても、フロンティアテックがビジラボに対し「優越的地位」を利用して「濫用行為」を行えば、独占禁止法違反となる。これにより、ビジラボは公正取引委員会に相談し、フロンティアテックへの指導や勧告を求めることができる。
「独占禁止法は、市場における公正な競争を維持するための法律です。その中で『優越的地位の濫用』とは、読んで字のごとく、取引上優位な立場にある事業者が、その地位を利用して、正常な商慣習に照らして不当に相手方に不利益を与える行為を指します。たとえ下請法の資本金基準にわずかに引っかからなかったとしても、フロンティアテックのような大企業が、ビジラボのようなスタートアップに対して行う不当な要求は、この『優越的地位の濫用』に該当する可能性が十分にあります」
神崎さんは、ゆっくりと、しかし力強く言った。
「『優越的地位』にあるかどうかの判断は、取引先の事業活動にとって、その取引がどれほど不可欠か、代替可能な取引先が他にどれだけいるか、といった要素で判断されます。ビジラボにとって、フロンティアテックとの取引がどれほど重要か、他に代替がきかないかを考えれば、彼らが『優越的地位』にあることは明白でしょう」
「そして、『濫用』とは、具体的には、買いたたき、不当な返品、不当な協力金要求、不当な契約解除などが挙げられます。フロンティアテックの要求は、まさにこれらに該当します。公正取引委員会は、下請法違反だけでなく、独占禁止法違反についても監視しており、違反行為に対しては排除措置命令や課徴金納付命令を出す権限を持っています」
俺は呆然として神崎さんの話を聞いていた。今まで知らなかっただけで、こんなにも明確に、俺たちを、スタートアップを、守ってくれる法律があるなんて。
「神崎さん……じゃあ、俺たちは、泣き寝入りしなくていいってことなんですね?」
「当然です。法律は、特定の企業のためだけにあるのではありません。公正な市場競争を維持し、弱い立場にある事業者を保護するために存在するのです。知っているか知らないかで、あなたの会社の未来は大きく変わります」
神崎さんの言葉は、俺の胸に強く響いた。
4. 知らないは罪!俺たちの「武器」で戦う!
神崎さんの解説を受け、俺の頭の中は整理されていった。要は、こういうことだ。
「神崎さん!要は、フロンティアテックが俺たちに出してきた条件は、大企業が中小企業に無理を押し付けるのを禁じる『下請法』や『独占禁止法』に引っかかるってことっすよね!?だから、俺たちはこの契約をただ飲むんじゃなくて、『これは法律違反ですよ』って交渉のテーブルで言える、ってことっすか!?」
俺は前のめりになって問いかけた。神崎さんは小さく頷いた。
「その認識で概ね問題ありません。ただし、感情的にぶつけるのではなく、冷静に法的根拠を提示し、建設的な交渉を行うことが重要です。いきなり『公正取引委員会に通報します!』などと脅すような真似は、かえって事態を悪化させる可能性もあります。あくまで、法的な正当性に基づき、対等な取引関係を築くための交渉材料として、これらの法律を活用するのです」
「なるほど……。そっか、ただ単に『無理です』じゃなくて、『御社の提示するこの条件は、下請法第○条の禁止行為『買いたたき』に該当する可能性がございます』って言えるってことか!」
俺は膝を叩いた。これだ!これなら、大企業相手でも、筋を通して交渉できる。
「思えば、前に神崎さんに教えてもらった『労働契約』の話と似てますね!あの時、俺は田中を『よろしく!』って握手で済ませようとして、神崎さんに『書面を交わせ』って言われた。あれも、働く人間を守るためのルールだった。今回も、俺たちみたいな下請け企業を守るためのルールがあったってことか……!」
俺は、これまでの学びが繋がっていく感覚に、胸が熱くなった。法律は、ただ俺たちを縛るものではなく、俺たち自身を守るための「盾」であり、時には「武器」にもなるんだ。
「このままフロンティアテックの要求を飲んでいたら、ビジラボは確実に潰れてた。潰れなくても、開発チームは疲弊しきって、田中も斉藤も辞めてたかもしれない。俺の無知が、会社を、仲間を危険に晒すところだった……」
俺は奥歯を噛み締めた。知らないことは、本当に罪だ。特に、経営者にとっては。
「絶対に、こんな理不尽な要求は飲まない!ビジラボを守るためにも、田中や斉藤、そして未来の社員のためにも、ちゃんと筋を通して交渉してやる!」
俺は、神崎さんと斉藤に向き直り、力強く宣言した。
「斉藤!フロンティアテックとの契約書、もう一度洗い出してくれ!どの条項が、下請法のどの禁止行為に該当するのか、神崎さんに教わったことを元にリストアップするんだ!田中も、開発の観点から、無償での追加開発がいかに現実的でないか、具体的な数値で示す資料を作ってくれ!」
「はい、社長!やります!」 「わかりました、社長!」
二人の返事も、さっきまでとは打って変わって力強い。
「いいですか、青木さん。交渉の際には、あくまで『御社との良好な関係を望む上で、法的に問題となる可能性のある条項について、協議をお願いしたい』というスタンスで臨んでください。敵対するのではなく、あくまで法的な正当性を盾に、公正な取引を求めるのです」
神崎さんのアドバイスは、常に冷静で的確だ。俺は、その言葉を胸に刻み、フロンティアテックとの再交渉に臨む決意を固めた。
5. 攻めの法務!小さな一歩と確かな成長
フロンティアテックとの再交渉は、予想通り難航した。最初は「大企業との取引とはこういうものだ」と一蹴されそうになった。しかし、俺は神崎さんの教えを胸に、感情的にならず、あくまで冷静に、しかし毅然とした態度で臨んだ。
「御社との協業はビジラボの成長にとって不可欠だと考えております。しかし、今回ご提示いただいた契約書の特定の条項については、弊社の経営を圧迫するだけでなく、場合によっては下請法や独占禁止法における『優越的地位の濫用』に該当する可能性がございます。弊社としては、公正な取引関係を築くため、これらの条項の再検討をお願いしたいと存じます」
俺は、神崎さんがくれたスクリプトを、何度も反芻した甲斐あって、淀みなく言い放った。相手の担当者は、俺の口から「下請法」「独占禁止法」という言葉が出てきたことに驚きを隠せない様子だった。
最終的に、フロンティアテックは単価の引き上げに応じ、無償での追加開発要請も一部撤回された。検収期間も常識的な範囲に短縮され、期間中の仕様変更も追加費用が発生しない場合は軽微なものに限る、という修正案が提示されたのだ。完璧ではないかもしれないが、ビジラボが致命的なダメージを受けることは避けられた。そして、何よりも、大企業相手に臆することなく、自分たちの正当な権利を主張できたという経験は、俺にとって大きな財産となった。
「法務は、ただ会社を守るだけじゃない。時に、会社の利益を守り、成長を後押しする『攻めの武器』にもなるんだ」
俺は、フロンティアテックとの契約書にサインしながら、改めてそう強く感じた。経営者として、また一つ、大きな階段を上ったような気がした。
2. 記事のまとめ (Summary & Review)
📚 今回の学び(神崎メンターの総括)
[学習ポイント1]: 下請法は、親事業者(大企業等)が下請事業者(中小企業等)に対し、優越的地位を濫用して不当な取引を行うことを防ぐための法律である。適用対象は資本金基準によって決まる。
[学習ポイント2]: 親事業者の禁止行為(買いたたき、受領拒否、不当な返品、不当な給付内容の変更・やり直しなど)を知り、これらの行為から身を守る術を学ぶ。
[学習ポイント3]: 下請法が適用されない場合でも、独占禁止法における「優越的地位の濫用」によって、不公正な取引を是正できる場合がある。
[学習ポイント4]: これらの法律は、知っていれば大企業相手の不当な要求に対しても、法的根拠をもって対等に交渉するための強力な「武器」となる。
今週のリーガルマインド(神崎の教訓) 「法律を知らないことは、無防備な丸腰で戦場に立つに等しい行為です。特に立場の弱い者が、自社を守り、公正なビジネス環境を築くためには、『法』という盾と剣を手に取ることが不可欠なのです。」
💭 青木の気づき(俺の学び)
大企業が提示する契約書は、絶対じゃない!法的に問題がある要求は、ちゃんと交渉して修正させることができるってことを、身をもって知った。
「チャンスだから」って思考停止で不利な条件を飲むのは、短期的な利益どころか、会社の命取りになる。法務ってのは、目先のチャンスとリスクを冷静に天秤にかける、経営者の「知性」そのものなんだな。
「労働契約」の時もそうだったけど、弱い立場にある人や企業を守る法律があるってことを知っておくのは、本当に大事だ。法を知ることは、自分たちを守る力になる!
3. 次回予告 (Next Episode)
大手との交渉を終え、ようやくビジラボの事業が本格的に軌道に乗り始めた。社員も増え、サービス利用者も順調に増加していく。そんな中、経理を担当する斉藤さんが、俺に深刻な顔で尋ねてきた。「社長、この顧客データと、今後増える社員のマイナンバー、どう管理しますか?まさか、クラウドにそのまま、なんてことは……ありませんよね?」俺は「え、何か問題あるのか?」と軽く答えてしまうが、その言葉に神崎さんはまたしても冷ややかな視線を向けた……。
次回: 第43回 「個人情報」は「爆弾」! 個人情報保護法

