いきなり裁判はイヤ!「ADR」っていう裏ワザ、ありますか?

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ここで学べる学習用語:裁判外紛争解決手続(ADR)、調停、仲裁、裁判所、事物管轄、土地管轄

前回、俺は「会社設立」という夢の入り口に立ったばかりで、法務なんて「ルール」があることすらロクに知らなかった。神崎さんから「法源」という言葉を教えてもらい、法律の世界がどれだけ奥深いか、その多様なルールがどこから来ているのかをわずかながら理解した。しかし、まさか設立早々、いや、設立「前」から、俺が法律トラブルのド真ん中に放り込まれるとは、夢にも思っていなかったんだ……。


第2回: いきなり裁判はイヤ!「ADR」っていう裏ワザ、ありますか?

1. 契約トラブル勃発!青木の絶望と「まさかの裁判沙汰?」

「な、なんだってんだ、この大家さんは!」

俺はインキュベーションオフィスの共有スペースで、声を荒げていた。顔には出さないようにしているつもりだが、多分真っ赤になっていたと思う。俺と斉藤さんの目の前には、腕組みをして憮然とした顔で立っている大家さんの姿があった。

事の発端は、数日前に遡る。俺たちのスタートアップ「ビジラボ」は、インキュベーションオフィスの一角に小さなスペースを借りていた。広さよりも立地と初期費用を重視して、契約書もろくに読まずにサインしてしまったのが、今思えば最大の失敗だった。いや、言い訳じゃない。当時は「早く事業を始めたい!」という情熱だけで突っ走っていたんだ。細かい契約条項なんて、目に入らなかった。神崎さんの「契約書をよく読め」という言葉が、遠くからこだまのように聞こえてくる気がした。

先日、ビジラボに初めての来客があった。潜在顧客候補のベンチャーキャピタリストだ。気合を入れて応接室を使おうとしたんだが、そこは先客がいて使えない。急遽、共用スペースの会議室を予約しようとしたら、これも一杯。結局、仕方なく、俺たちのオフィススペースで話すことになった。当然、狭苦しいし、隣のブースの声も丸聞こえで、商談は散々だった。

その夜、俺は大家さんに猛抗議した。「事前に話した共有設備が全然使えないじゃないですか!これじゃビジネスになりませんよ!」すると大家さんは、涼しい顔で、契約書の一文を指差した。

『本契約において、共有設備(応接室、会議室等)の利用は、貸主の予約システムに従い、利用可能な場合に限り利用できるものとし、その利用を保証するものではない。』

「いや、いやいや!そんなこと言ったって、普通は使えるって期待するじゃないですか!」 俺は食い下がったが、大家さんは聞く耳を持たない。 「青木さん。契約書に書いてありますよね?それがルールです。納得できないなら、ご退去いただいても結構ですよ。ただし、契約期間満了前の解約は違約金が発生します」

その「違約金」という言葉に、俺は全身が凍りついた。会社設立したばかりで、資金はギリギリだ。ここで違約金なんて払ったら、ビジラボは本当に終わってしまう。 「くそっ、こんな理不尽な話があるか!だいたい、共有設備が全然使えないなんて、詐欺だろ!?」 俺の頭には「詐欺」という言葉がチラついた。確か前回の神崎さんの話で、法律のどこかで聞いたような…。でも、そんなことよりも、この状況をどうにかしたい気持ちでいっぱいだった。

斉藤さんが俺の隣で、不安げに囁いた。 「社長、落ち着いてください。でも、このままじゃ本当に…事業に支障が出ます。それに、大家さんとの関係も悪化したら、今後も何かと大変です」 彼女の言葉は正論だ。しかし、俺の頭はもう冷静な判断ができなかった。 「こんな大家、もう相手にしてられるか!こうなったら、裁判だ!裁判して、この契約を白紙に戻してやる!」

俺は完全に自暴自れだった。冷静さを欠いたまま、「裁判」という言葉を口にした瞬間、まるで世界が俺を嘲笑っているかのように感じた。法務なんてほとんど知らないのに、いきなりこんな大それたことを考えている自分に呆れつつ、他に選択肢がないように思えていたんだ。

2. メンターの登場と「ADR」という意外な選択肢

俺が「裁判だ!」と息巻いた時だった。背後から、澄んだ声が聞こえた。

「青木さん、少し落ち着いてください。その認識は、いくつか『致命的』に間違っています」

振り向くと、そこに立っていたのは神崎さんだった。いつものようにピンと背筋を伸ばし、涼やかな視線を俺たちに向けている。どうやら俺たちのやり取りが、共有スペースにまで響き渡っていたらしい。斉藤さんはホッとしたような、申し訳なさそうな顔で神崎さんを見つめた。

「神崎さん…!見てくださいよ、この大家さん、全く話にならないんです!こんなの、もう裁判で片付けるしかないじゃないですか!」 俺は捲し立てるように訴えた。神崎さんは変わらず冷静な声で言った。 「青木さんの仰る『詐欺』という言葉には、法的な要件があります。そして、たとえ契約書に不備があったとしても、いきなり『裁判』というのは、必ずしも最善の選択とは限りません」

「えっ?最善じゃないって、どういうことっすか?じゃあ、どうすればいいんですか?このまま泣き寝入りしろと!?」 俺は食ってかかった。神崎さんはフッと小さく笑った。まるで子どもを諭すような、しかし威厳のある声だった。 「泣き寝入りする必要はありません。しかし、法律のトラブル解決には、裁判以外にも様々な『手段』があります。特にスタートアップの青木さんにとっては、裁判よりも有効な、いわば『裏ワザ』と呼べるものがあるかもしれません」 「裏ワザ…?」 俺は目を丸くした。斉藤さんも興味深げな表情を浮かべている。 「はい。例えば、『ADR』という言葉を聞いたことはありますか?」 「ADR…?なんすかそれ?エー・ディー・アール…ですか?アルファベット三文字なんて、なんかIT用語みたいでカッコいいっすけど、何かの必殺技っすか?」 俺は素直に疑問をぶつけた。法務の素人である俺にとって、それはまったく聞いたことのない言葉だった。

神崎さんは俺の反応に微動だにせず、静かに答えた。 「必殺技、とまでは言いませんが、トラブル解決の有効な選択肢の一つです。正式名称は『裁判外紛争解決手続』。裁判という『表』の舞台とは異なる『裏』の舞台、つまり法廷の外でトラブルを解決する仕組みのことです」 俺は頭の中で「裁判外紛争解決手続」という長い言葉を繰り返した。ADR。どうやらこれが、今回のトラブルを解決するための鍵になりそうだ。

3. 神崎の法務レクチャー:トラブル解決は「裁判」だけじゃない!ADRという智慧

【神崎の法務レクチャー】

「青木さん、先ほど『裁判だ!』と仰いましたね。もちろん、法的なトラブル解決の最終手段として、裁判所は非常に重要な役割を担っています。前回、法源の話で『判例』に触れましたが、裁判所は法律を解釈し、具体的な紛争に適用することで、事実上のルール形成にも寄与する公的機関です」

神崎さんはそう言って、ゆっくりと話を始めた。

「しかし、裁判には、いくつか認識しておくべき特性があります。まず、一つは『費用と時間』です。訴訟を提起するには、弁護士費用、印紙代、予納郵券代など、高額な費用がかかります。裁判の期間も、簡単なもので数ヶ月、複雑なものだと数年単位になることも珍しくありません。スタートアップの青木さんにとって、貴重なリソースを割いて裁判に臨むのは、大きな負担となるでしょう」

「確かに…!今、そんなお金も時間もありません…」俺はうなだれた。

「ええ。もう一つは『公開の原則』です。原則として裁判は公開の法廷で行われます。青木さんの会社がトラブルを抱えているという事実が公になる可能性もあるわけです。ビジネス上の風評リスクも考慮すべきです。そして何より、裁判は『白か黒か』を明確に判断する場です。判決は強制力を持ちますが、判決が下された後も、相手との人間関係は悪化し、修復は極めて困難になるでしょう。大家さんとの関係が悪化すれば、今後のビジネスにも影響しかねません」

「うぐっ…、た、確かに…。感情的になって、そこまで考えてませんでした…」

「良い疑問(気づき)ですね。そこで登場するのが、私が先ほど申し上げた『裁判外紛争解決手続(ADR: Alternative Dispute Resolution)』です。文字通り、裁判所を通さずに紛争を解決する仕組みの総称で、日本では『ADR法(裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律)』という法律でその利用が促進されています」

「裁判の外で解決…ですか。でも、それってただの話し合いとどう違うんすか?」

「青木さんの疑問はもっともです。単なる話し合いであれば、当事者同士で解決できるはずですよね。ADRの最大の特徴は、『中立・公正な第三者』が関与する点にあります。この第三者が、当事者間の対立を緩和し、双方にとって納得のいく解決策を見つける手助けをしてくれるのです。多くの場合、弁護士、司法書士、学識経験者などがその役割を担います」

「なるほど…!プロが間に入ってくれるってことっすね!それなら、俺みたいに法律のこと全然知らない素人が、大家さんと直接揉めるよりは良さそうっす!」

「その通りです。ADRは裁判と比べて、多くのメリットがあります。第一に『柔軟性』です。法的な判断だけでなく、お互いの事情や感情も考慮に入れた、柔軟な解決が期待できます。第二に『非公開性』です。多くの場合、手続きは非公開で行われるため、企業秘密やプライバシーが守られます。第三に『迅速性・低コスト性』です。裁判よりも短期間で解決できることが多く、費用も抑えられる傾向にあります。そして最後に、『当事者間の関係維持』です。最終的な合意は当事者間の話し合いによって形成されるため、解決後も関係性を保ちやすいという特徴があります。大家さんとの関係も修復できる可能性があるわけです」

「すげえ…!まさに裏ワザじゃないっすか!でも、具体的な方法ってどんなのがあるんすか?」

神崎さんは小さく頷き、解説を続けた。

「ADRには様々な種類がありますが、代表的なものとして『調停』『仲裁』の二つを覚えておくと良いでしょう」

【神崎の補足解説】調停(ちょうてい)とは?

裁判所や公的機関、あるいは民間のADR機関が選任した「調停委員」と呼ばれる中立な第三者が、当事者双方の主張を聞き、合意形成を促す手続きです。調停委員は、具体的な解決策を強制することはできませんが、専門知識を活かして適切なアドバイスや情報提供を行います。最終的な合意は当事者双方の「自由な意思」に基づきます。和解が成立すれば、その内容は「調停調書」に記載され、これは確定判決と同じ法的効力を持ちます。

ビジラボのようなスタートアップが、契約に関する軽微なトラブルや人間関係が絡む紛争で、迅速かつ柔軟な解決を目指す場合に有効です。

「調停は、言わば『話し合いのプロが進行してくれる話し合い』です。第三者が間に入ることで、感情的な対立を避け、冷静に互いの落としどころを探ることができます。そして、調停で合意に至った内容は、調停調書として法的効力を持つため、後から『やっぱりやめた』とは言えなくなります」

「なるほど!プロの仲介者が、俺たちを話し合いのゴールまで連れて行ってくれるって感じっすね!」

「そうですね。そしてもう一つが『仲裁』です」

【神崎の補足解説】仲裁(ちゅうさい)とは?

当事者間の合意(「仲裁合意」と呼びます)に基づき、中立な第三者(「仲裁人」と呼びます)が紛争の事実関係を審理し、最終的に「仲裁判断」を下す手続きです。仲裁判断は、裁判所の確定判決と同じ法的効力を持ち、当事者双方を法的に拘束します。調停と異なり、仲裁人は強制力のある判断を下せる点が大きな違いです。

国際的な商取引や、専門性の高い技術紛争など、迅速かつ最終的な解決が求められるケースで特に利用されます。ただし、仲裁判断に対しては、原則として不服申し立てはできません。

「仲裁は、調停よりも裁判に性質が近い手続きと言えます。ただし、当事者同士が『仲裁人に判断を委ねる』という合意(仲裁合意)をしていることが前提です。仲裁人が下した判断は、裁判所の判決と同じように強制力を持つため、紛争を確実に終わらせることができます。国際的なビジネスなどではよく使われる手法ですね。不服申し立てができないという点で、裁判よりもスピーディーに決着がつきます」

「え、じゃあ、何で最初から仲裁じゃなくて裁判するんすか?そっちの方が早く終わりそうじゃないっすか?」

「良い質問ですね、青木さん。仲裁は当事者の『仲裁合意』が前提となるため、相手が仲裁に同意しなければ手続きを進めることができません。また、費用が裁判よりも高額になるケースもあります。特に大家さんのような一般的な紛争では、通常は調停が先に検討されます」

「なるほど!そうか、相手が応じないと始まらないのか…!」

「そして、青木さんが『裁判だ!』と仰った『裁判所』についても、もう少し知っておきましょう。裁判所は、皆さんの身近にある市役所や区役所のように、どこにでも裁判を起こせるわけではありません。事件の種類や場所によって、担当する裁判所が決まっています。これを『管轄』と呼びます」

【神崎の補足解説】裁判所の管轄(かんかつ)とは?

裁判所の「管轄」とは、特定の事件について、どの裁判所が審理を担当する権限を持つかを定めたルールです。

  1. 事物管轄(じぶつかんかつ): 事件の「種類」や「訴訟物の価額(請求する金額)」によって、地方裁判所と簡易裁判所のどちらが担当するかを定めます。例えば、140万円以下の請求は簡易裁判所、それ以上の請求や特殊な事件(特許訴訟など)は地方裁判所が担当します。
  2. 土地管轄(とちかんかつ): 事件と関係のある「場所」に基づいて、どの地域の裁判所が担当するかを定めます。被告の住所地、契約の履行地、不法行為地などが基準となります。

管轄を間違えると、裁判手続きが無駄になってしまうため、非常に重要な概念です。

「今回の大家さんとのトラブルであれば、まずは契約書に記載された訴訟合意管轄(もしあれば)を確認し、なければ大家さんの住所地やオフィスがある場所の簡易裁判所か地方裁判所に訴えを提起することになるでしょう。例えば、請求額が140万円以下であれば簡易裁判所、それ以上であれば地方裁判所が『事物管轄』を持ちます。そして、どこの地域の裁判所が担当するかは『土地管轄』というルールで決まるわけです」

「うわ…、裁判って、いきなりやってしまおうと思っても、こんなに色々ルールがあるんすね…!全然知らなかった…!」

「ええ。だからこそ、裁判は最終手段なのです。ADRは、これらの複雑な手続きや高額な費用、長期化するリスクを避けつつ、専門家の力を借りて柔軟な解決を目指せる、スタートアップにとって非常に有効な選択肢だと覚えておいてください。特に、大家さんとの関係を完全に断ち切れない以上、調停などのADRで円満な解決を目指す方が賢明な場合が多いでしょう」

神崎さんの言葉は、俺の頭の中にスッと入ってきた。まるで絡まった糸が解けていくような感覚だった。

4. 青木の理解と葛藤:最善の解決策とは?

神崎さんの丁寧な解説を聞き、俺は必死で頭を整理した。

「なるほど…!要は、裁判はめちゃくちゃ費用も時間もかかるし、関係も修復不可能になる。だから、その前に『ADR』っていう、プロの第三者が間に入って話し合いをまとめてくれる『調停』とか、判断を下してくれる『仲裁』ってのがあるってことっすね!で、特に俺たちの場合は、大家さんとの関係も考えたら、『調停』の方が現実的ってことっすか?」

俺がそうまとめると、神崎さんは静かに頷いた。 「その認識で概ね問題ありません。ただし、調停も仲裁も、相手方がその手続に応じる必要があります。大家さんが応じなければ、やはり裁判所の門を叩くことになります」

「うぐっ…、そうか、そこが難しいところか…。じゃあ、まずは大家さんに『調停』を提案してみる、ってことっすね。もしそれでダメなら…」

俺の顔には、再び暗雲が立ち込めた。裁判となると、莫大な費用と時間がかかる。ビジラボにはそんな余裕はない。しかし、このまま大家さんの言いなりになって、事業に支障が出続けるのも避けたい。

「…青木さん。法律は、私たちを守るためのツールです。しかし、そのツールをどう使うか、そしてどのタイミングで使うかを見極めるのが、経営者の役割でもあります。感情的になるのではなく、冷静に、どの選択肢がビジラボにとって最もメリットが大きいかを考えてみてください」

神崎さんの言葉が、俺の胸に突き刺さる。そうだよな、ただ怒っているだけじゃ何も解決しない。俺はビジラボの社長なんだ。感情に流されず、一番賢い選択をしなくちゃいけない。

「わかりました…!神崎さん、ありがとうございます!俺、大家さんに『調停』を提案してみます。もちろん、契約書を盾にされるのは悔しいですけど、それでも事業を止めずに解決できるなら、それが一番ですもんね…!」

俺は改めて、法務の重要性を痛感した。第1回で「法源」の多様性を学んだが、今回は「解決手段」の多様性だ。問題が起きた時、闇雲に突っ走るのではなく、様々な「ルールブック」や「解決ツール」の中から最適なものを選び出す。それが、経営者に求められる「智慧」なんだと。俺は、一つ大きな葛藤を乗り越えたような気がした。

5. 解決への一歩と小さな成長:未来を見据えて

俺はすぐに大家さんの元へ向かった。そして、冷静に、しかし毅然とした態度で「調停」という選択肢を提案した。

「大家さん。感情的になって申し訳ありませんでした。ただ、このままでは弊社も困ります。つきましては、お互いにとって一番良い解決策として、中立な第三者を交えた『調停』を検討していただけないでしょうか?裁判よりも費用も時間もかからず、円満な解決を目指せるはずです」

大家さんは、一瞬怪訝な顔をしたが、俺の言葉にどこか冷静さが戻っているのを感じ取ったのか、渋々といった表情で「…考えておきましょう」と返事をしてくれた。完全な解決にはまだ遠いかもしれないが、少なくとも「裁判」という最悪のシナリオは避けられそうだ。

オフィスに戻ると、斉藤さんが心配そうに待っていた。 「社長、どうでしたか?」 「ああ、なんとかなりそうだ。とりあえず『調停』を提案してみた。もしダメなら、裁判も視野に入れなきゃならないけど、まずはこれでいってみる」 斉藤さんは安堵の表情を見せた。 「良かったですね。それにしても、ADRですか…。本当に勉強になります。まさか、そんな解決方法があるとは…」

俺は、窓の外の東京の街を見つめた。スタートアップの戦いは、まさに荒波のようだ。次から次へと予期せぬトラブルが押し寄せてくる。でも、もう俺は一人じゃない。神崎さんという羅針盤がいて、斉藤さんという頼れる航海士がいる。そして、少しずつではあるけれど、俺自身も「法」という航海術を学び始めている。

「法務、マジでヤバいけど、やるしかねぇ…。俺たちのビジラボを、この荒波の中で沈ませるわけにはいかないんだからな!」

俺は改めて強く心に誓った。小さなトラブル一つ一つを乗り越え、法務を味方につけることで、ビジラボはきっともっと強くなれるはずだ。


2. 記事のまとめ

📚 今回の学び(神崎メンターの総括)

  • [学習ポイント1]: 法的なトラブル解決の手段は「裁判」だけではない。費用・時間・人間関係を考慮し、最適な手段を選ぶことが重要。

  • [学習ポイント2]: 裁判外紛争解決手続(ADR)は、中立な第三者の介入により、柔軟かつ迅速な解決を目指すことができる。代表的なものに「調停」と「仲裁」がある。

  • [学習ポイント3]: 裁判所には「事物管轄」と「土地管轄」というルールがあり、闇雲に訴えを提起することはできない。裁判は最終手段と心得ておくべきである。

今週のリーガルマインド(神崎の教訓) 「法律は争いを生み出すものではなく、争いを解決し、未来を築くための共通言語です。感情に流されず、冷静にその言語を操る術を学ぶことこそ、真の経営者の智慧です。」

💭 青木の気づき(俺の学び)

  • 「トラブルが起きたら、とりあえず裁判だ!」って短絡的に考えてたけど、それじゃダメなんだ。法律には、俺たちスタートアップの弱みを補ってくれる、もっとスマートな「解決の裏ワザ」があるんだな。
  • 特に「調停」ってやつは、費用も時間も抑えられそうだし、大家さんとの関係を完全に壊さずに解決できる可能性があるのがデカい。この「選択肢の多さ」を知ることが、法律を知ることなんだって実感した。

3. 次回予告

大家さんとのトラブルは、とりあえず調停の提案で一時的な小康状態を迎えた。しかし、俺の頭には、もう一つ大きな疑問が残っていた。「契約書にろくに目を通さなかった」ことが今回の騒動の発端だが、そもそも俺たちが結んだ契約は、どういう「会社」としての契約なんだ?なぜ、面倒な「登記」なんてしなくちゃいけないんだ?法人と個人って、何が違うんだ?

その時、経理の斉藤さんが、新しい契約書らしきものを持って俺に近づいてきた。 「社長、新しい共同開発の契約書が届いたのですが、これ、うちの『商業登記』の情報が古いままだとマズイかもしれません…」

次回: 第3回 会社の「ハンコ」と「登記」の重要性

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