「俺の会社だ!」と叫んだら、メンターに鼻で笑われた件(株主の話)

ここで学べる学習用語:株式、株主、株主名簿、自己株式
第7回: 「俺の会社だ!」と叫んだら、メンターに鼻で笑われた件(株主の話)
会社設立の手続きもようやく一段落。俺、青木健一の頭の中には、これから始まる「ビジラボ」の輝かしい未来が広がっていた。これで晴れて社長として、思う存分ビジネスに打ち込める!そう思っていたんだが、どうやら俺は、とんでもない勘違いをしていたらしい。そう、あの神崎さんに「会社の真のオーナー」について、改めて現実を突きつけられるまでは――。
まさに「俺の城」! 創業社長の脳内お花畑
「いやー、長かったっすね、定款作成とか法人登記とか! これでやっと俺の会社、ビジラボが本格的にスタートできるってわけだ!」
俺はインキュベーションオフィスの真新しいデスクにドンッと両手を広げ、大きく伸びをした。前回の『定款』作成では、神崎さんの鬼のようなチェックが入って、正直、何回か心が折れかけたけど、これでやっと「自分の城」ができた感覚だ。
隣で黙々と経理資料を整理していた斉藤さんが、ふっと顔を上げた。
「社長、お疲れ様でした。これでようやく株式会社ビジラボ、名実ともに始動ですね」 「うんうん! 名実ともに、だよな! 俺が発起人で、俺が代表取締役で、しかも、発行した株は全部俺が持ってるんだから、文句なしに『俺の会社』だ!」
俺は胸を張って言った。まさしく俺の情熱とアイデアが形になった会社。誰に遠慮することなく、俺の思う通りに動かせる。この高揚感が、俺のビジネス人生をさらに加速させるだろう。
斉藤さんが、少し困ったような、それでいて呆れたような表情で俺を見た。
「あの、社長。厳密に言えば、会社は社長個人のものでは…」 「え、何言ってんすか、斉藤さん。資本金は俺が出したし、株も全部俺が持ってる。これで『俺の会社じゃない』って言う方がおかしいでしょう?」
俺はちょっとムッとした。いや、本当に何言ってるんだ? 今まで散々「株式会社は資本と経営が分離してる」なんて言葉は聞いてきたけど、それは上場企業とか大企業の話だろ? まだ社員数も数名のスタートアップで、しかも創業社長が100%株を持ってるんだから、俺の会社でしょ。この辺の感覚が、俺はイマイチぴんと来なかった。
「だってさ、斉藤さん。何か決める時だって、俺が『やるぞ!』って言ったらやるし、俺が『これはなし!』って言ったらなしじゃん? 社長権限! オールマイティってやつ!」 「はぁ…そうですね、今は。ただ、それは社長が『株主』でもあるから、という側面も大きいかと…」
斉藤さんは、それ以上反論する気もなさそうに、再び書類の山に視線を戻した。何だよ、その歯切れの悪い言い方。まぁいいか。とにかく、これで俺は「株式会社ビジラボ」のオーナー兼最高責任者だ。この会社の全ては、俺のモノ。そう思うと、やる気がみなぎってきた。
その時だった。オフィスの一角から、静かで、しかし凛とした声が聞こえた。
「青木さん、ちょっといいですか」
背後を振り向くと、そこにいたのは、いつもの冷静な表情の神崎凛メンターだった。また、面倒なことでも見つけてきたんだろうか。俺は少し身構えた。
神崎メンターの静かなる指摘:社長は「万能」じゃない
「神崎さん、お疲れ様です! どうしました?」 俺はわざと明るい声を出して、神崎さんの顔色を窺った。
神崎さんは、ゆっくりと俺のデスクまで歩いてくると、腕を組み、俺の言葉をさえぎるように話し始めた。
「青木さん。今、『この会社は俺のモノだ!』と仰っていましたね」 「あ、聞いてました? いやー、そうなんですよ! やっと自分の城を築いたって感じで、テンション上がっちゃって!」 「…そうですか」
神崎さんは、ほんの一瞬、小さくため息をついたように見えた。そして、その視線は俺ではなく、俺のデスクの上に雑に置かれた会社設立時の書類に向けられた。
「青木さん。確かにあなたは株式会社ビジラボの『代表取締役』であり、『発起人』であり、現時点では発行済みの『株式』を100%保有する『株主』でもあります。しかし、会社はあなた個人の所有物ではありません」
いきなり、核心を突かれた。俺の脳内お花畑が一気に凍りつくような感覚だ。
「え、でも、株を全部持ってるってことは、事実上俺の会社ってことじゃないんすか…?」
俺はまだ、自分の認識が間違っているとは思えなかった。だって、それが常識だろ? 金出した奴が偉いんだろ?
「いいえ。会社の最終的な意思決定権は、代表取締役であるあなた個人ではなく、『株主』、つまり株を持っている人たち全体に帰属します。そして、その『株主』という立場は、将来、外部からの『資金調達』によって、簡単に変わる可能性があることを忘れてはいけません」
神崎さんの言葉は、まるで鋭いメスのように、俺の漠然とした「俺の会社」という認識を切り裂いていった。資金調達。そういえば、いつかはベンチャーキャピタルとか、エンジェル投資家とかからお金を引っ張って、事業を拡大していくつもりでいたっけ。
「し、資金調達…?」
俺の声は、情けないほど小さくなっていた。その時、俺の脳裏に、今までぼんやりとしか認識していなかった「株主」という言葉が、まるで巨大な壁のように立ちはだかった。神崎さんは、そんな俺の狼狽ぶりを冷静に見つめながら、今回の「主要用語」を提示した。
「ええ。今回のテーマは、その『株式』、そして『株主』の持つ権利と、それが会社の経営にどう影響するか、です。青木さん、あなたはまだ、会社が誰のものか、本当の意味で理解していないようですね」
俺は、またしても自分の無知を思い知らされ、ただ呆然と神崎さんの言葉を聞くしかなかった。
神崎の法務レクチャー:会社は「株主」の「モノ」
【神崎の法務レクチャー】
「青木さん。まずは、株式会社の『株』が何を意味するのか、そこから始めましょう。前回、定款の話をしましたが、定款は会社の憲法のようなもので、その中で『株式会社』という形態を選んだ以上、私たちはそのルールに従う必要があります。株式会社とは、まさに『株式』を発行することで資金を調達し、その『株式』を持つ人々、すなわち『株主』が出資した範囲でしか責任を負わない(有限責任)という特徴を持つ会社形態です。」
神崎さんは、手元のホワイトボードに「株式会社」と書き、そこから「資金調達」「有限責任」と線を引いていく。
「そして、その『株式』は、会社への出資を証するものです。株主は、会社に出資した見返りとして、その『株式』を受け取ります。この『株式』は、単なる紙切れやデータではありません。そこには、会社の意思決定に参加する権利や、会社の利益を享受する権利など、様々な『株主の権利』が宿っています。」
「え、権利…? 株を持ってるだけで、そんなに強い力があるんすか?」
俺は眉をひそめた。俺は社長で、毎日汗水たらして働いているのに、株主はただお金を出しただけで、そんなに偉いのか?
「ええ、非常に強い力を持っています。なぜなら、株式会社の究極的な所有者は、経営者であるあなたではなく、その『株主』だからです。青木さんは、なぜ社長という立場で『この会社は俺のモノだ!』と感じていたのでしょうか?」
「そりゃ、俺が創業して、資本金も出したし、株も全部持ってるからですよ!」
「まさにその通りです。青木さんの場合、創業社長であると同時に、発行済みの全ての株式を持つ『株主』でもある。つまり、現在は『経営者』と『所有者』が同一人物だから、そう感じていたわけです。しかし、この状態は、あなたが外部から資金を調達した途端に変わります。」
神崎さんは、まるで冷水を浴びせるかのように言った。
「例えば、ベンチャーキャピタルから1億円の出資を受けたとします。その見返りに、彼らに会社の株式を渡す。するとどうなるでしょう? 発行済みの株式の何割かを彼らが保有することになりますよね。そうなれば、彼らもまた『株主』になるわけです。」
「なるほど…! そうか、俺一人の株主じゃなくなるのか…」
俺はハッとした。そんな単純なことにも、今まで意識が回っていなかった。
「そうです。そして、会社の重要な事項、例えば『役員の選任』や『定款の変更』、『事業の譲渡』といったことは、最終的に『株主総会』での決議によって決定されます。この株主総会とは、まさに『株主』の集まりであり、株式会社の最高意思決定機関なのです。」
神崎さんは、再度ホワイトボードに「株主総会」と書き加え、その下に「最高意思決定機関」と記した。
「つまり、どれだけ社長が『こうしたい!』と情熱を燃やしても、株主総会で承認されなければ、それは実現できません。特に、出資比率が高い株主は、会社の経営に対して絶大な影響力を持つことになります。」
俺はゴクリと唾を飲み込んだ。俺の熱い情熱が、株主総会の決議で簡単に否決される可能性だってあるってことか…?
「では、具体的に株主はどのような権利を持っているのでしょうか? 大きく分けて、『自益権』と『共益権』があります。」
【神崎の補足解説】株主(かぶぬし)とは?
会社に出資し、その対価として「株式」を取得した者を指します。株式会社の最終的な所有者であり、出資した範囲(有限責任)でしか責任を負いません。株主は、会社法によって様々な権利を保障されており、会社の最高意思決定機関である「株主総会」を通じて、会社の経営に大きな影響力を行使します。スタートアップにおいては、資金調達の過程で多様な株主(創業者、エンジェル投資家、VCなど)が存在することになり、その構成や比率は経営の自由度を大きく左右します。
「『自益権』というのは、株主自身が会社から直接利益を得るための権利です。代表的なのが、『剰余金の配当請求権』、つまり会社が儲けたお金を自分に分けてくれ、と要求する権利ですね。あとは、会社が解散した時に残った財産を分け与えられる『残余財産分配請求権』などがあります。」
「なるほど…! 要は、金銭的なリターンを求める権利ってことっすね!」 「ええ、その通りです。そしてもう一つが『共益権』です。これは、会社の経営に参加したり、会社を監督したりする権利です。具体的には、『株主総会での議決権』、つまり株主総会で意見を述べて、議案に賛成・反対を投じる権利です。それから、『役員を選任する権利』や『会社を監査する権利』なども含まれます。」
「議決権! それは聞いたことあります! 株をいっぱい持ってると、それだけ議決権も大きくなるってことですよね?」
「その通りです。原則として、1株につき1議決権が与えられます。ですから、あなたが100%の株主である間は、全ての議決権をあなたが持っていたわけです。しかし、他の株主が入れば、その比率に応じて議決権も分散されます。」
神崎さんは、再びホワイトボードに「議決権」と書き、その横に「1株=1議決権(原則)」と添えた。
「そして、これらの株主の権利を行使するために重要なのが、『株主名簿』です。会社は、株主の氏名や住所、保有する株式の数などを記載した『株主名簿』を作成し、備え置く義務があります。この『株主名簿』に記載されている者こそが、会社に対して株主としての権利を主張できるのです。」
【神崎の補足解説】株主名簿(かぶぬしめいぼ)とは?
会社が作成・備置する、株主の氏名・名称、住所、保有株式の種類と数などを記載した名簿です。株主名簿に記載されていることで、会社に対して株主としての権利(議決権の行使、配当の受領など)を主張することができます。株式会社にとって、誰が株主であるかを明確にする公的な書類であり、株主の変動があった際には速やかに更新する義務があります。スタートアップにおいては、特に資金調達やM&Aの際に、株主構成を明確にする上で極めて重要となります。
「株主名簿…って、なんか地味な感じだけど、超重要ってことっすね…」
「非常に重要です。あなたが誰かに株式を譲渡したとしても、株主名簿の書換えが行われていなければ、会社はあなたを依然として株主として扱いますし、新しい株主は会社に対して権利を行使できません。株式の譲渡は、会社にとっては『株主名簿』に記載があって初めて効力を持つと考えてください。」
「うわ、そこまで厳密なんすか…じゃあ、もし勝手に株を売り買いされても、会社としては知らんぷりできるってこと?」
「原則としては、そうなります。しかし、中小企業においては、会社にとって望ましくない人物が株主になることを防ぐために、『株式譲渡制限』を定款に設けているケースがほとんどです。これについては、また別の機会に詳しく説明しましょう。さて、最後に『自己株式』についてです。これは、会社が自社の株式を保有することを指します。」
「え、会社が自分の株を買うってことですか? なんか意味なくないすか?」
「以前は原則禁止されていましたが、今は一定の要件の下で認められています。例えば、市場から自社株を買い戻して消却することで、1株当たりの価値を高めたり、ストックオプションとして従業員に交付するために保有したり、といった目的で利用されます。ただし、自己株式は議決権を持たない、といった制限がありますので注意が必要です。」
【神崎の補足解説】自己株式(じこかぶしき)とは?
株式会社が自社が発行した株式を買い戻し、保有している株式のことです。以前は原則禁止されていましたが、会社法改正により一定の要件を満たせば取得・保有が可能となりました。主な目的としては、発行済株式数の減少による1株当たりの価値向上、M&Aにおける買収対価、ストックオプションとしての従業員への交付などが挙げられます。自己株式は議決権を持たず、配当も受けられませんが、柔軟な資本政策を実現するための重要なツールです。
「つまり、青木さん。『俺の会社だ!』という気持ちは、創業社長として当然の感情ですが、法的な視点では、『あなたは株主の一人であり、同時に経営を委託された代表取締役でもある』という認識を持つことが重要です。特に将来、外部からの資金調達を考えているなら、この『株主』との関係性や、議決権比率のコントロールは、会社の命運を左右する極めて重要な経営課題となるでしょう。」
神崎さんの言葉は、俺の楽観的な思考に、現実という名の重い重石をドンと置いた。
冷や汗だらけの理解と、未来への決意
神崎さんの解説は、俺の頭の中をぐちゃぐちゃにするには十分すぎる威力だった。最初は「株主なんて、創業期には関係ないだろ」と高をくくっていたのに、話を聞けば聞くほど、その存在の大きさに冷や汗が止まらなくなった。
「や、要はこういうことっすか、神崎さん! 今は俺が株を100%持ってるから、俺が社長権限を振るってるように見えるけど、それは『俺が社長で、かつ、俺が唯一の株主でもあるから』ってだけで、厳密には、会社は『株主のもの』ってことなんすね?」
俺は必死に頭を回転させ、自分の言葉で理解しようと試みた。
「ええ、その認識で間違いありません。会社は『法人』という独立した存在であり、その法人の最終的な決定権は、出資者である株主が持っている、ということです。」
神崎さんは少しだけ満足げに頷いた。
「くっ…! なんか、一気に責任の重さが何倍にもなった気がする…! 『俺の会社』って言ってるうちは、どこかフワフワした感覚だったけど、これが『株主』のものだって思うと、将来、他の株主たちに対しても、しっかり責任を負わないといけないってことっすよね?」
俺は興奮気味に言った。ただの「俺の城」じゃなくて、「みんなの城」になる可能性があるってこと。そうなると、俺の独断専行は許されない。もっと、冷静に、論理的に、そして透明性を持って経営していかなければならない。
「その通りです。だからこそ、創業期から誰が、どれくらいの株式を持つのか、そして将来の資金調達でどれくらい株式が希薄化するのか、といった資本政策は、経営者にとって最も重要な戦略の一つなのです。」
神崎さんの言葉に、俺は深く頷いた。そうだ、ただ目先のサービス開発や営業に集中するだけじゃダメなんだ。この「ビジラボ」という船を、どこへ向かわせるのか。誰がその舵を握るのか。そして、その航海の責任は誰が負うのか。そういうことを、ちゃんと理解していなければ、嵐の海で遭難してしまうだろう。
「うおおお! なんか、めちゃくちゃ重要なことを、今さら知った気がするっす…! やべぇ…! 俺、今まで全然わかってなかった! 資金調達の時とか、株主構成とか、ぜってー神崎さんに相談しますんで、また教えてくださいっ!」
俺は、自分の無知を思い知らされると同時に、新たな知識を得たことで、これまでとは違う決意が湧き上がってきた。法務は面倒だし、難しいけど、これを理解せずに社長なんてやってたら、いつか痛い目を見る。いや、ビジラボ自体が危険に晒される。それは絶対に避けなければならない。
会社の未来は、誰が握る? 小さな気づきと大きな責任
今回の神崎さんのレクチャーは、俺の頭の中を完全にひっくり返した。ずっと「俺の会社」だと思っていたビジラボが、実は「株主の会社」であり、俺は今はその唯一の株主であると同時に、経営を委託された「代表取締役」に過ぎないという事実。
この感覚は、まるで自分の家だと思っていた場所に、実は「大家さん」というもっと大きな存在がいて、いつでも「契約更新」を迫られる可能性があると知った時の衝撃に似ている。今は俺が大家さんも兼ねているから問題ないが、将来、多くの「大家さん(株主)」が入ってきたら、俺の独断は許されない。
「なるほどな…会社は俺の情熱だけで動くもんじゃねぇんだ…」
俺はデスクに置かれた会社の登記簿謄本のコピーを手に取った。そこには「発行済株式の総数」と「資本金の額」が記載されている。今まで単なる数字だと思っていたものが、今は会社の「所有者」の権利、そして「経営者」の責任を象徴する、重い意味を持つ記号に見えた。
法務、マジでヤバいけど、やるしかねぇ。この「ビジラボ」という俺の夢を、ただの「俺のモノ」で終わらせるんじゃなくて、たくさんの「株主」に支えられる大きな事業にするために。
俺は、新たな決意を胸に、もう一度、前を向いた。
2. 記事のまとめ (Summary & Review)
📚 今回の学び(神崎メンターの総括)
【学習ポイント1】会社は誰のものか?: 株式会社の最終的な所有者は「株主」であり、経営者(代表取締役)は株主から経営を委託された存在である。創業社長でも、株式を他者に譲渡すれば経営の自由度は変化する。
【学習ポイント2】株式と株主の権利: 「株式」は出資の証であり、会社への出資者は「株主」となる。株主は、利益配当請求権(自益権)や、株主総会での議決権(共益権)など、多様な権利を持つ。原則として1株につき1議決権が与えられる。
【学習ポイント3】株主名簿と自己株式: 会社は株主の情報を記載した「株主名簿」を作成・備置する義務があり、株主名簿への記載が会社に対する株主権行使の要件となる。また、会社が自社の株式を保有する「自己株式」は、柔軟な資本政策に活用されるが、議決権は持たない。
今週のリーガルマインド(神崎の教訓) 「『俺の会社だ』という気持ちは尊い情熱ですが、株式会社である限り、会社は法人という独立した存在であり、最終的な所有者は『株主』です。この基本を理解せずに経営の舵取りをすれば、いつか座礁するでしょう。誰が、どれくらいの『株式』を持つのか、そしてその『株主』にどう向き合うのか。それは、経営者として最も重要な戦略の一つです。」
💭 青木の気づき(俺の学び)
俺の会社だ!って意気込んでたけど、あれは「俺が唯一の株主だったから」ってだけの話だったんだな…。将来、資金調達して他の株主が入ってきたら、彼らが会社の本当のオーナーになるってこと。
株主って、ただ金出しただけの「お偉いさん」だと思ってたけど、会社の方向性を決める最高意思決定権を持ってるのか。マジかよ。これからは株主の気持ちも考えて経営しなきゃヤバいってことか…。
「株主名簿」とか「自己株式」とか、地味に聞こえるけど、会社のコントロールや資本政策にはめっちゃ重要なんだな。法務って、ホントに経営の根幹にかかわる部分なんだって、改めて痛感した。
3. 次回予告 (Next Episode)
株主という存在の重さを痛感した俺。ビジラボは俺だけの会社じゃない。いや、正確には「俺一人の株主の会社」から、将来はもっと多くの「株主」を抱える会社になることを視野に入れて経営しないとダメなんだと、背筋が凍る思いがした。そんな気持ちでいるところに、斉藤さんが「社長、そろそろ取締役会の開催時期ですけど…」と切り出してきた。
「え、取締役会? でも俺一人っすよ? 俺が俺に命令するってこと?」 俺の素朴な疑問に、神崎さんはまたしても冷ややかな一言を放った――。
次回: 第8回 会社経営の「エンジン」! 取締役と代表取締役

