社長の暴走を止めろ!「監査役」って、お飾りじゃないんですか?

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ここで学べる学習用語:[監査役, 監査役会, 会計参与, 会計監査人]

第9回: 社長の暴走を止めろ!「監査役」って、お飾りじゃないんですか?

「全部、俺が決める!」──そう豪語したのが、つい先日だ。第8回で神崎さんに「経営判断には重い責任が伴います」と釘を刺されたばかりだというのに、俺の頭の中はいつだって、ビジラボを成長させるためのアイデアでいっぱいで、法務の細かい話は正直、二の次になっていた。だけど、今日、斉藤さんの一言が、そんな俺の脳みそに冷水をぶっかけることになった。会社の未来、いや、俺自身の未来を左右しかねない「監視の目」の存在に、俺は初めて気づかされたんだ。


「社長、これ、ウチの会社にはいらないですよね?」無邪気な問いかけが俺の耳を塞ぐ

「社長、この書類、会計監査人の選任について、って書いてありますけど、ウチの会社、まだ小さいから関係ないですよね?」

ある日の午後、斉藤さんが経理のデスクで、何やら分厚い書類を抱えながら、少し困ったような顔で俺に問いかけた。俺はちょうど、新しいサービスのデザイン案を田中とああでもないこうでもないと言い合っていたところで、正直なところ、経理の細かい話に構っている余裕はなかった。

「ん? 会計監査人? なんだそれ?」 俺は軽く聞き流すような口調で答えた。会計監査人なんて、聞いたこともない。大企業のニュースなんかで、たまに「不正会計が見つかって、監査法人が責任を問われた」みたいな話を聞くけど、まさかビジラボにそれが関係あるとは夢にも思っていなかった。

「監査役、とかなんとか書いてますね。監査役会とか、会計参与とか…」 斉藤さんはぶつぶつと書類の山をめくりながら呟いている。俺はといえば、「あー、はいはい、それってつまり、大企業が不正をしないように、外部からチェックする人とか、機関とか、そういう話でしょ?」と、鼻で笑うような調子で返した。

「ウチみたいなスタートアップには、縁のない話だよ。だって、俺が社長で、俺が全部見てるんだから、不正なんて起きるわけないじゃん? むしろ、余計なコストがかかるだけだろ。そんなことより、新しいサービスのプロモーション費用、どうするか検討しないと。な、田中?」

俺は田中に同意を求めるように視線を向けた。田中は気のいい奴だから、俺の意見に「そうっすね!」とすぐに乗ってくると思ったんだ。だが、田中はなぜか困った顔で、斉藤さんと俺の顔を交互に見ている。その隣で、斉藤さんは呆れたようにため息をついた。

「はぁ…社長、そうおっしゃいますけど、会社法に定められた機関ですからね。株式会社である以上、無関係ではいられませんよ」 斉藤さんの声には、いつもの穏やかさがなく、どこか厳しい響きがあった。彼女は、単なる事務処理係じゃない。大学で経済学を専攻し、スタートアップのCFOを目指している才女だ。俺の楽観的な考え方が、彼女には「無知」に映っているんだろう。

「別に俺は、法を破ろうって言ってるわけじゃないんだよ。ただ、優先順位ってものがあるだろ? 今、ビジラボが成長するために必要なのは、新しい顧客と新しい技術だ。監査役とか、そんな後ろ向きな話じゃなくてさ」 俺は少しムキになって反論した。自分が正しいと信じ込んでいる時ほど、人は他人の意見を受け入れられないものだ。俺にとって「監査」なんていう言葉は、会社の足かせになる、邪魔な存在でしかなかった。監視されるなんて、真っ平ごめんだったし、何より、自分の経営判断に自信があった。

斉藤さんは何も言わず、ただ書類をまとめている。その沈黙が、かえって俺の胸に重くのしかかった。まるで、「社長、あなたは何も分かっていない」と責められているようだった。俺は居心地の悪さを感じながらも、必死で自分を正当化しようとしていた。

「第一、監査役なんて、誰がやるんだよ? 変な奴が会社の内部情報に首突っ込んで、余計なことされたら困るじゃないか。それに、お金もかかるだろ? 今、ウチは一円だって無駄にはできないんだ」 俺は畳みかけるように言った。確かにコストは大きい。小さなスタートアップにとって、外部の人間を雇う余裕なんて、今のビジラボにはない。俺は自分の意見が正当であると信じ、頭の中で完璧なロジックを組み立てていたつもりだった。

だが、その時、背後からスッと冷たい声が聞こえた。 「青木さん、その認識は『致命的』に間違っていますよ」

振り返ると、そこにはいつの間にか神崎さんが立っていた。彼女は、いつものように冷静な表情で、俺と斉藤さんの会話を最初から聞いていたようだった。俺の背筋に、ヒヤリと冷たいものが走った。また、やらかした。俺は直感的にそう思った。

神崎メンターの登場!「社長の暴走」は、誰が止める?

神崎さんの言葉は、オフィスに響くエアコンの音すら止めてしまうかのような、静かな迫力を持っていた。俺の顔は、きっと一瞬で青ざめていたはずだ。

「神崎さん…いつからそこに…?」 俺は思わずどもってしまった。彼女はそんな俺の狼狽を全く意に介することなく、真っ直ぐに俺の目を見据える。

「青木さんの言う『余計なコスト』や『邪魔な存在』という認識は、監査役という制度の本質を全く理解していません。監査役は、会社の成長にとって不可欠な『ガバナンス』の中核を担う機関です。特にスタートアップこそ、その必要性を理解しておくべきです」 神崎さんの言葉は、まるで鋭いメスのように、俺の楽観的な思考を切り裂いていく。ガバナンス…また聞き慣れない言葉が出てきた。俺は頭が混乱して、何から聞けばいいのかすら分からなくなった。

「ガバナンス…って、また難しい言葉が出てきましたね。要は、社長の俺が変なことしないように、誰かが見張ってるってことですか? なんか、信用されてないみたいで嫌だな…」 俺は素直な感情を吐露した。自分の会社だ。自分の判断が、誰かからチェックされるというのは、正直面白くない。

神崎さんはフッと小さく笑った。その笑みには、呆れと同時に、深い理解のようなものも含まれているように感じられた。 「青木さん、それは経営者として当然の感情かもしれません。しかし、会社は社長一人のものではありません。株主のものです。そして、会社が成長し、社会的な影響力を増していくにつれて、従業員、顧客、取引先、そして社会全体に対する責任も大きくなります」

「社長の独断専行が、時には会社を破滅に導くこともあります。その『暴走』を未然に防ぎ、会社が健全に、そして永続的に成長するための『仕組み』。それが、コーポレート・ガバナンス、そしてその重要な役割を担うのが『監査役』なのです」 神崎さんの言葉は、俺の耳には重く響いた。暴走? 俺が? そんなまさか。でも、彼女の冷静な視線は、俺の胸にチクリと刺さった。俺はこれまで、ビジラボを成長させることしか考えていなかった。そのために、多少の無理は当然だと思っていたし、法務の細かい話は、いつも後回しにしてきた。

「…そう、なんすか。じゃあ、斉藤さんが言ってた『会計監査人』とか『会計参与』とかも、その『ガバナンス』と関係があるんですか?」 俺はしぶしぶといった感じで質問を重ねた。正直、まだ納得はできていない。しかし、神崎さんの言葉の重みは、俺にこれ以上反論することを許さなかった。俺はただ、彼女の解説を聞くしかできなかった。

【神崎の法務レクチャー】「社長の監視者」という名の守護者たち

「良い質問(疑問)ですね、青木さん。まさにその通りです。監査役、会計参与、そして会計監査人は、それぞれ異なる役割で、会社の健全な経営、つまり『ガバナンス』を支える重要な機関です。まずは『監査役』から順に解説しましょう」

神崎さんはそう言って、オフィスのホワイトボードに向かい、ペンを手に取った。俺は田中に小声で「まさか、ここで講義が始まるとは…」と耳打ちすると、田中は苦笑いを浮かべた。斉藤さんは既にメモの準備を整えている。

「青木さん、第8回で『取締役』は会社の業務を執行する、つまり会社の日常的な経営を行う人だと学びましたね。そして、その取締役には『善管注意義務』や『忠実義務』という重い責任があることも。しかし、人間は誰しもミスをする生き物です。悪意がなくても、判断を誤ることはありますし、残念ながら、中には個人的な利益を優先してしまう取締役もいるかもしれません」

「そんな時、誰が取締役の業務執行をチェックし、会社や株主の利益を守るのでしょうか? その役割を担うのが『監査役』です」

【神崎の補足解説】監査役(かんさやく)とは?

会社法に基づき設置される機関の一つで、取締役(及び会計参与)の職務の執行を監査する役割を持つ。主に、業務監査(取締役の職務執行が法令や定款に違反していないか、経営判断が適切かなど)と会計監査(会社の計算書類が適正に作成されているか)を行う。中小企業の場合、監査役を置かないことも可能だが、取締役会設置会社(大会社以外)では原則として監査役の設置が義務付けられる。スタートアップにおいても、将来的な成長や資金調達を考えると、ガバナンス強化のために重要な存在となる。

「監査役は、会社の『目』や『耳』となって、取締役の業務執行状況を常にチェックします。例えば、取締役が契約を結ぶ際に不適切な取引をしていないか、会社の財産を私的に流用していないか、株主総会の決議事項がきちんと実行されているか、といったことを監視するわけです」 神崎さんの説明は、俺の頭の中に、「会社を守る盾」のような存在をイメージさせた。自分の暴走を止める、というよりは、会社全体を守るために必要な仕組み、という方がしっくりくるかもしれない。

「なるほど…。でも、ウチは社長の俺と、斉藤さん、田中くらいしかいない小さい会社ですよ? わざわざ監査役なんて置かなくても、俺がちゃんとすればいい話じゃないんですか?」 俺はまだ、自分の会社に「監視の目」が必要だということに抵抗があった。

「青木さん、そこがポイントです。確かに、公開会社でない株式会社、つまり株式を証券取引所に公開していない中小企業では、監査役を置かないこともできます。しかし、それはあくまで『現在の規模が小さいから』という一時的な選択肢に過ぎません」

「会社が成長し、取締役会を設置することになった場合、原則として監査役も設置しなければなりません。また、もし将来的に投資家から資金を募ることを考えた場合、投資家は必ず『ガバナンス体制』を重視します。つまり、投資家は青木さんの『情熱』だけでなく、会社の『仕組み』がどれだけ堅牢かを見ているのです。監査役は、その仕組みの信頼性を担保する存在でもあるのです」

俺はハッとした。資金調達。そうか、俺が描くビジラボの未来には、いずれ大きな資金が必要になる。その時、投資家から「ガバナンスが脆弱だ」と言われたら、俺の夢はそこで終わってしまうかもしれない。

「それに、監査役は『取締役とは独立した立場』で職務を行うことが求められます。つまり、青木さんの指示で動くわけではありません。それが、社長の暴走を止める上で非常に重要なポイントになります」 神崎さんの言葉に、俺はまた「ぐっ」となった。独立した立場…俺の言うことを聞かない。やはり少し面白くない。

「なるほど…でも、監査役って具体的にどうやって仕事をするんですか? ずっと会社の資料を読んでるだけじゃなくて?」 俺は、監査役がただ書類をチェックしているだけの「お飾り」ではないのか、という疑問を投げかけた。

「監査役の権限は非常に強いですよ、青木さん。例えば、取締役会への出席義務と意見陳述権があります。取締役会で不適切な決議がなされそうになったら、それに異議を唱えることができます。さらに、子会社の調査権、取締役の違法行為差止請求権、会社に対する損害賠償責任追及権なども持っています。まさに、会社の守護者、株主の番犬と言えるでしょう」

「ひえー…番犬…」 俺は思わず声を上げた。ただの「お飾り」どころか、会社の経営にここまで深く関与する権限があるとは知らなかった。もし変な監査役を置いてしまったら、俺の経営が雁字搦めになってしまうのではないかという不安がよぎった。

「さて、斉藤さんが言っていた『会計監査人』や『会計参与』についても解説しましょう。これらは、特に『会計』という専門分野から、会社の適正な財務状況をチェックする機関です」

【神崎の補足解説】会計監査人(かいけいかんさにん)とは?

会社法に基づき設置される機関で、会社の計算書類(貸借対照表、損益計算書など)が、法令や会計原則に従って適正に作成されているかを監査する。公認会計士または監査法人でなければなることができない。大会社(資本金5億円以上、または負債総額200億円以上)では設置が義務付けられる。中小企業でも、任意で設置することで財務の信頼性を高めることができる。

【神崎の補足解説】会計参与(かいけいさんよ)とは?

会社法に基づき設置される機関で、取締役と共同で計算書類を作成する。公認会計士、監査法人、税理士、税理士法人でなければなることができない。中小企業において、取締役会や監査役の設置が任意の場合でも、会計の専門家が関与することで財務の透明性を確保し、信頼性を高めることを目的とする。

「会計監査人は、主に大会社に設置が義務付けられる機関で、公認会計士や監査法人が担当します。彼らは会社の計算書類、つまり決算書が本当に正しく作られているか、数字の誤りや不正がないかという点を、外部の独立した専門家の目で厳しくチェックします」 神崎さんはそう言って、電卓を叩くジェスチャーをした。

「一方、会計参与は、主に中小企業が任意で置くことができる機関です。公認会計士か税理士が、取締役と協力して計算書類を作成し、その書類の正確性について責任を負います。会計監査人が『チェック役』だとすれば、会計参与は『作成支援・チェック役』というイメージです」

「どちらも会計の専門家が関与することで、会社の財務報告の信頼性を高めるのが目的です。青木さん、ビジラボはまだ小さいですが、いずれ外部からの評価を受ける段階になれば、正確で透明性の高い財務報告は必須です。その土台を作るのが、これらの機関の役割なのです」

神崎さんの丁寧な解説は、俺が抱いていた「監査役=お飾り」「会計監査人=大企業の話」という浅はかな認識を根底から覆した。これらは、単なるコストではなく、会社の信頼性や将来性を担保するための「投資」なのだと、少しずつ理解できるようになってきた。

「つまり、俺が『全部俺が決める!』って意気込んでいるだけじゃダメで、将来、ビジラボがもっと大きくなって、たくさんの人に信用してもらうためには、俺の経営をチェックしてくれる目が必要だってことなんですね。監査役も、会計の専門家も、会社の成長にとって必要な『仕組み』なんだ…」 俺は、自分なりに理解したことを言葉にしてみた。頭の中では、まだモヤモヤする部分もあったが、それでも、以前よりは遥かにクリアになっている。

神崎さんは俺の言葉に、小さく頷いた。 「その通りです、青木さん。会社の機関設計は、パズルのようなものです。会社の規模や目指す方向性によって、必要なピースは変わってきます。今は監査役を置いていないとしても、将来を見据えて、その役割と必要性を理解しておくことは、経営者として極めて重要です」

「監査役は、決して青木さんの『暴走』を止めるためだけに存在するわけではありません。時には、青木さんの情熱が空回りしそうになった時、客観的な視点から冷静なアドバイスを与え、会社の進むべき道を修正する『羅針盤』の役割も果たしてくれるでしょう。それは、会社と、そして青木さん自身を守ることにも繋がるのです」

羅針盤か…。自分の経営をサポートしてくれる存在、という風に考えると、少しは受け入れやすくなった。今まで、会社の法務は全て神崎さん頼みだったけど、こうして会社の「仕組み」自体が、俺を、そしてビジラボを守ってくれるという感覚。それは、俺にとって全く新しい視点だった。

成長への一歩!「監視の目」は、未来への投資だ

神崎さんのレクチャーを聞き終え、俺は深くため息をついた。 「なるほど…正直、俺の考えてたこと、全部間違ってましたね。監査役とか、会計監査人とか、単なる邪魔なコストだと思ってたけど、会社の信頼性を高めるための、未来への投資ってことなんすね」 俺はホワイトボードに残された神崎さんの走り書きを眺めながら、ぽつりと呟いた。

隣で聞いていた斉藤さんが、少し安心したような顔で頷いた。 「ええ、社長。特に資金調達や上場を考えるなら、ガバナンス体制は投資家から厳しく見られますから。今のうちに制度を理解しておくのは、本当に大事だと思います」 斉藤さんの言葉は、俺の心にすとんと落ちてきた。今まで、会計や法務の知識不足でピンチに陥るたび、神崎さんや斉藤さんに助けられてきた。その度に「もっと勉強しないと」とは思うものの、目の前の課題に追われて、なかなか体系的に学ぶ機会がなかった。でも、今日は違った。

俺は、自分の経営に自信を持っていたつもりだったが、それは狭い視野での自信だったと痛感した。会社が大きくなるにつれて、社長一人で全てを完璧にこなすのは不可能になる。むしろ、自分以外の目や知識を取り入れることで、会社はより強固なものになるのだ。

「分かったよ、斉藤さん。神崎さん。まだすぐ監査役を置くわけじゃないけど、今後のビジラボの成長計画に、どういう形でガバナンス体制を組み込んでいくか、しっかり考えていくよ」 俺はまっすぐに二人を見て言った。その言葉には、今までのような楽観的な軽さはなく、一経営者としての真剣な決意が込められていたはずだ。

神崎さんは、満足げな表情で頷いた。 「ええ、それが大切です。ガバナンスは、会社の『健康状態』を測るバロメーターであり、成長を支える『背骨』のようなものです。今は青木さんの情熱がビジラボを動かしていますが、いずれ、その背骨がなければ、どんなに素晴らしいアイデアも形にすることはできません」

俺は、神崎さんの言葉を反芻した。背骨か。なるほど、いい例えだ。確かに、情熱だけで会社が倒れないようにするには、しっかりとした骨格が必要だ。俺は、今日学んだ「監査役」という存在を、自分を縛るものではなく、ビジラボを支えるための強靭な背骨として捉え直そうと決意した。

「よし、やるぞ! いつか、ビジラボが堂々と『監査役を置いている立派な会社です!』って言えるように、まずは俺が、もっとしっかりしなきゃな…」 俺はそう呟きながら、自分の未来とビジラボの未来に思いを馳せた。法律は、時に厳しい現実を突きつけるが、その知識は、俺たちの会社を未来へと導く羅針盤になる。そう確信した、第9回の学びだった。


2. 記事のまとめ (Summary & Review)

📚 今回の学び(神崎メンターの総括)

  • [学習ポイント1]: 監査役は「社長の暴走」を監視し、株主・会社全体を守る重要な機関です。特に中小企業でも、将来的なガバナンス強化や資金調達のために、その役割を理解しておくことが不可欠です。

  • [学習ポイント2]: 会計監査人や会計参与は、会計の専門家として計算書類の適正性をチェック・作成支援します。会社の財務報告の信頼性を高め、外部からの信用を得る上で重要な役割を担います。

  • [学習ポイント3]: ガバナンス体制は、単なるコストではなく、会社の健全な成長と未来への投資です。経営者としては、自分の判断を客観的にチェックされる仕組みを整える意識が求められます。

今週のリーガルマインド(神崎の教訓) 「情熱は会社を前進させるエンジンですが、ガバナンスはそのエンジンを暴走させず、安全に目的地へ導くための『操縦桿』です。未来へ進むためには、両方が不可欠なのですよ、青木さん。」

💭 青木の気づき(俺の学び)

  • 今まで、法務の話はいつも「目の前のリスクを回避するための最低限のルール」くらいにしか考えてなかった。でも、監査役の話を聞いて、法律やガバナンスって、会社を大きく強くしていくための「土台」であり「仕組み」なんだって初めて腑に落ちた。自分の経営判断が全てじゃないし、むしろ、誰かにチェックしてもらうことで会社はもっと信頼されるようになる。まだ正直、ちょっとモヤモヤするところもあるけど、これはビジラボの未来のために必要なことだって、ちゃんと理解できた気がする。

3. 次回予告 (Next Episode)

無事に監査役の重要性を理解し、ガバナンスへの意識を高めた俺。ビジラボは順調に成長の兆しを見せ、ついに、初めての正社員を迎え入れることになった。それは、優秀なエンジニアである田中だ。青木は「よろしく!」と握手で済ませようとするが、神崎は厳しい顔でこう言った。「青木さん、その認識は甘すぎます。『労働契約』を書面で交わしてください。話はそれからです」と。俺はまたしても、人の採用という最も基本的な部分で、重大な落とし穴に気づかされてしまうのだった…。

次回: 第10回 人を雇う「覚悟」! 労働契約と労働基準法

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