祝・社員第一号!…って、握手じゃダメ?「労働契約」の洗礼

ここで学べる学習用語:労働契約、労働基準法、労働契約法、就業規則
第10回: 祝・社員第一号!…って、握手じゃダメ?「労働契約」の洗礼
俺は今、人生で最高の高揚感に包まれていた。 ビジラボ、初の社員採用! これまで俺と斉藤の二人三脚で走り抜けてきたが、いよいよ仲間が増える。それも、俺たちのプロダクトの未来を担う、天才エンジニア。
会社設立のあれこれで、法律の壁にぶち当たること数知れず。正直、まだ何が何やら、って感じだ。登記? 定款? 株主? 取締役?…頭がパンクしそうだったが、神崎さんの冷静な解説と斉藤の現実的なサポートのおかげで、なんとか形にはなってきた。
「ビジラボ」という名前を掲げた俺たちのスタートアップは、ようやくスタートラインに立ったばかり。 でも、今回の出会いは、俺たちを次のステージへ引き上げる、間違いなく大きな一歩になるはずだ。
熱血社長の「甘すぎる採用」の落とし穴
「田中くん! 今日からビジラボの正式なメンバーだ! いやー、来てくれて本当に嬉しいよ!」
俺は満面の笑みで、目の前の若者に手を差し出した。田中翔、22歳。大学院を中退し、フリーランスとしてAI開発を経験。その才能に惚れ込み、半年かけて口説き落とした逸材だ。 彼は少し照れたように「よろしくお願いします、青木社長」と言って、俺の手を握り返してくれた。その手のひらの熱さが、俺の心臓に直接響いてくるようだった。
「おお! よし、握手! これで今日から、田中くんも『ビジラボの一員』だ!」
俺は興奮のあまり、まるでスポーツチームの入団式のようなノリで言い放った。ようやく、俺のビジョンを共有できる仲間が増えた。これで、開発が一気に加速する。 俺たちのSaaSサービス、「BizLab Boost」が、より多くのビジネスを支援できる日が来るんだ。想像するだけで、鳥肌が立つ。
隣にいた斉藤が、いつものように少し呆れたような顔で口を開いた。
「社長、あの…何か、書類とかは…?」
「書類? ああ、そうだな。田中くんの履歴書はもらってるし、入社誓約書みたいなやつ、後で軽く作っておけばいいだろ? 大丈夫大丈夫! 田中くんとはもう信頼関係があるからな!」
俺は意気揚々と胸を張った。何せ、この半年間、何度も一緒に飲みに行って、ビジラボの未来について語り明かしてきた仲だ。彼の情熱と技術力は本物だし、俺も彼の真剣さに応えたい。そんな俺たちの間に、堅苦しい紙切れなんて必要ない。…と、その時の俺は本気で思っていた。
斉藤は眉をひそめたまま、俺の背後、オフィスに入ってきた人物に視線をやった。
「…青木さん、その認識は『致命的』に間違っています」
ゾクリ、と背筋に冷たいものが走った。声の主は、もちろん神崎さんだ。 いつもと変わらない、冷静で研ぎ澄まされた声。だが、その背後に隠された「絶対的な正論」のオーラに、俺はいつも言葉を失う。
神崎さんは、淡いグレーのスーツを完璧に着こなし、いつものようにどこか悟ったような表情でそこに立っていた。手に持ったコーヒーカップから、ふわりと香ばしい湯気が立ち上る。 どうやら今日の午前中は、俺たちのオフィスに顔を出す予定だったらしい。
「え、神崎さん…? い、いや、でも、今日から田中くんが仲間になってくれるんで、その…」
俺は必死に言い訳しようとしたが、神崎さんは一切動じない。むしろ、その涼やかな瞳が、俺の甘い考えを射抜くように感じられた。
「青木さん。人を雇用するということは、会社にとって『最大の責任』の一つです。そして、その責任の出発点となるのが、他でもない『労働契約』なんです」
「ろ、労働契約…?」
俺は田中くんと顔を見合わせた。田中くんも、何となく不安そうな表情を浮かべている。 俺はてっきり、社員を雇うってのは「一緒に夢を追いかける仲間」が増えることだと思ってた。もちろん、間違ってはいない。でも、神崎さんの言葉は、その夢に「とてつもなく重い現実」がのしかかっていることを示唆しているようだった。
「はい。そして、この『労働契約』をいい加減に扱うことは、青木さんの会社だけでなく、田中さんの将来にも深刻な影響を及ぼしかねません」
神崎さんの言葉は、まるで鋭利なメスのように俺の甘い幻想を切り裂いた。 「マジっすか…?」 俺は思わず、そう呟くしかなかった。
メンター神崎の一喝!「労働契約」という重い現実
「青木さん、落ち着いてください。人を雇うことは、確かに素晴らしいことですが、同時に、企業には従業員を守るという非常に重い責任が生じるのです」
神崎さんは、俺と田中くんを促して、オフィスの一角にあるミーティングスペースへと向かった。斉藤も、当然のようにそれに続く。
「先ほど青木さんは『信頼関係があるから堅苦しい紙切れは不要』とおっしゃいましたが、法的な視点から言えば、それは大きな間違いです。青木さんと田中さんの間で、すでに『労働契約』は成立しています」
「えっ、そうなんですか!? 握手しただけで…?」
俺は目を丸くした。契約ってのは、分厚い契約書にハンコを押して初めて成立するもんだと思ってた。
「はい。雇用主が労働者に『働いてほしい』と申し込み、労働者が『働きます』と承諾した時点で、口頭であっても労働契約は成立します。法律上は、書面がなくても有効なんです。これは、第16回で学ぶ『契約の成立』の基本中の基本ですね」
神崎さんは、冷静に、しかし有無を言わせぬ調子で説明を続けた。
「しかし、口頭の契約では、後々トラブルになった際に、『何が約束されたのか』が不明確になり、双方にとって大きなリスクとなります。特に労働契約は、単なるビジネス上の取引契約とは一線を画します」
「一線を画す…ですか?」
「はい。なぜなら、労働契約は『使用者と労働者』という、基本的に対等ではない力関係の当事者間で結ばれる契約だからです。この力関係の差を是正し、『労働者』を保護するために、特別な法律がいくつも存在します」
神崎さんは、そう言って、今回の主要学習用語を提示した。 「それが、『労働基準法』、そして『労働契約法』です。さらに、職場のルールブックである『就業規則』も、この文脈で非常に重要になります」
俺は頭が真っ白になった。 労働契約? 労働基準法? 労働契約法? 就業規則? 会社設立の段階で、株主とか取締役とか、俺個人の責任の話で手一杯だったのに、今度は「人を雇う」だけで、こんなにも多くの法律が絡んでくるのか。
「ヤバい、全然わかんねぇ…」
俺が思わず呟くと、神崎さんは静かに頷いた。 「だからこそ、今ここで、基本をしっかりと理解しておく必要があります」
「労働者」を守る盾。法律の原則とスタートアップの現実
「青木さん、まず大前提として理解していただきたいのは、日本において『労働者』は非常に手厚く保護されている、ということです」
神崎さんは、ホワイトボードにサラサラとペンを走らせ、図を描き始めた。
「通常のビジネス契約、例えばビジラボが開発を外部に委託するような『請負契約』や『業務委託契約』では、基本的に契約自由の原則が適用されます。当事者同士が合意した内容が全てです。しかし、『労働契約』は違います」
【神崎の法務レクチャー】
「青木さん。『労働契約』とは、労働者が使用者の指揮命令下で労働に従事し、使用者がその対価として賃金を支払うことについて合意する契約のことです。田中さんの場合、ビジラボの指示を受けてソフトウェア開発を行い、ビジラボがその対価を払うわけですから、まさにこの『労働契約』に該当します」
【神崎の補足解説】労働契約(ろうどうけいやく)とは?
労働者が使用者の指揮命令下で労働し、使用者がその対価として賃金を支払うことを約束する契約。民法の雇用契約をベースに、労働者保護の観点から労働基準法や労働契約法などの特別法が適用される。ビジラボのようなスタートアップが社員を雇用する際、この契約によって使用者(会社)と労働者(社員)の権利義務関係が確定し、労働法上の様々な義務が発生する。
「この労働契約を規律する最も基本的な法律が、『労働基準法』です。これは、労働条件の最低基準を定めるもので、賃金、労働時間、休憩、休日、有給休暇、安全衛生など、労働者が人間らしく働くための『最低ライン』を定めています」
「最低ライン、ですか…」
「そうです。例えば、賃金は最低賃金以上でなければならない。労働時間は原則1日8時間、週40時間まで。休憩は6時間を超えるなら45分、8時間を超えるなら1時間。休日は週1回。これらは全て労働基準法で定められた『強行法規』であり、使用者と労働者が『うちの会社はスタートアップだから、残業代はナシね!』とか『休憩は一切なしでぶっ通しで働こう!』と合意したとしても、それは無効になります。労働基準法で定められた最低基準を下回る契約は、その部分において無効となり、法律の規定が適用されるんです」
俺はゴクリと唾を飲み込んだ。そんなに厳しいのか…。
「次に、『労働契約法』です。これは、個別の労働契約における基本的なルールを定めています。例えば、解雇は客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合は無効である、といった『解雇権濫用の法理』の規定などが含まれます」
【神崎の補足解説】労働基準法(ろうどうきじゅんほう)とは?
労働条件の最低基準を定めた法律。労働時間、賃金、休憩、休日、安全衛生など、労働者が働く上で最低限守られるべきルールが明記されている。使用者はこの法律の基準を下回る労働契約を労働者と締結することはできず、違反した場合は罰則が科されることもある。ビジラボが田中さんのような社員を雇用する際、この法律の規定を厳守する義務が生じる。
【神崎の補足解説】労働契約法(ろうどうけいやくほう)とは?
労働契約に関する基本的な原則とルールを定めた法律。使用者と労働者の間の具体的な労働契約のあり方について規定しており、労働契約の締結、変更、終了などに関するトラブルを未然に防ぎ、解決するための指針を提供する。特に解雇の有効性に関する規定(解雇権濫用の法理)は重要。ビジラボが社員を雇用・管理する上で、この法律の精神を理解し尊重する必要がある。
「さらに、職場全体のルールブックとして重要なのが『就業規則』です。これは、労働時間、賃金、人事、賞罰など、労働条件や職場の規律に関する具体的なルールを定めたものです。常時10人以上の労働者を使用する事業場では、この就業規則を作成し、労働基準監督署に届け出る義務があります」
「うち、まだ10人もいないから、いらないっすよね?」
俺がそう言うと、神崎さんは眉一つ動かさずに答えた。
「今の時点では法的義務はありませんが、いずれ必要になりますし、何より、たとえ従業員が数人であっても、明確なルールを定めておくことは、青木さんの会社を守るためにも不可欠です。職場の規律を保ち、トラブルを未然に防ぐ上で、就業規則は非常に重要な役割を果たします。特に、賃金の計算方法や、青木さんが先日おっしゃっていた『ボーナス』の支払い基準なども、ここに明記しておくべきです」
「ボーナス…」
【神崎の補足解説】就業規則(しゅうぎょうきそく)とは?
企業が定める、労働者の労働条件や職場規律に関するルールブック。労働時間、賃金、休日、有給休暇、退職、懲戒処分など、多岐にわたる項目が記載される。常時10人以上の労働者を使用する事業場には作成・届出義務があり、労働者への周知も義務付けられている。ビジラボが従業員を雇用する上で、トラブル防止と公正な労働環境構築のために、早期の作成と適切な運用が推奨される。
「さて、青木さん。これらの法律がなぜ存在するのか、考えてみてください。それは、雇用主である企業が、圧倒的に強い立場にあるからです。労働者は、賃金を得なければ生活ができないため、会社の指示に従わざるを得ない。その不均衡な力関係を是正し、労働者の最低限の生活と権利を守るために、これらの法律が存在するのです」
神崎さんの言葉は、俺の頭の中にガンガンと響いた。 確かに、俺はビジラボの社長だ。俺の言うことは、社員にとって絶対的な力を持つ。 田中くんも、生活のためにビジラボで働いてくれる。その俺が、好き勝手にルールを決めたり、無理な要求をしたりしたら、田中くんは不利益を被るかもしれない。
「つまり、労働契約を結ぶということは、単に人が増えるというだけでなく、青木さんが『使用者』として、これらの法律で定められた責任を負う、ということなんです」
神崎さんは、淡々と締めくくった。
俺の認識、完全崩壊!経営者としての責任の覚悟
「うおおお…ま、マジか…」
俺は頭を抱えた。これまで会社設立で散々法律の面倒くささを痛感してきたつもりだったが、「人を雇う」というのは、それとは次元の違う重みがある。まるで、これまで自分の操縦桿を握って自由に飛び回っていた小型飛行機が、突如として巨大な旅客機に変わってしまったような感覚だ。
「要は、あれっすよね? 俺と田中くんは『友達』じゃなくて、俺は『社長』、田中くんは『社員』で、その『社員』を守るために、国が作った超分厚いルールブックがある、ってことっすか?」
俺が必死に自分の言葉で言い換えると、神崎さんはフッと小さく息を吐いた。
「…そうですね、概ねその認識で結構です。ただし、『友達』という関係性はもちろん重要ですが、それはあくまで『個人間の信頼関係』。会社と労働者という『法的関係』の上で初めて成り立つものです。そして、『超分厚いルールブック』は、青木さんが会社を経営する上で、田中さんを守り、ひいては青木さん自身の会社を守るための『羅針盤』なんです」
「羅針盤…」
「はい。この羅針盤を読めないと、青木さんの情熱という船は、いつ座礁するかわかりません。むしろ、今、青木さんが理解しようとしているその姿勢が、経営者として最も重要な『法的責任』への第一歩です」
神崎さんの言葉に、俺はハッとした。 「羅針盤」か。面倒だ、難しい、と思っていた法律が、少しだけ違う色に見えてきた。
「例えば、田中くんの給与はどうしますか? 月額いくらで、交通費や手当は? 勤務時間は何時から何時までで、休日は? 残業が発生した場合の計算方法は? 試用期間は設けますか? 退職する際のルールは? これら全てを、口頭の『よろしく!』だけで済ませていたら、後々どんなトラブルが起こるか、想像できますか?」
神崎さんの問いに、俺は言葉を失った。 給与…そういえば、月額の希望は聞いたけど、細かい計算方法までは決めてない。 勤務時間…朝はだいたい10時くらいから、夜は気分で…。休みも土日くらい…? 残業…スタートアップだから、残業代なんて出るわけない、と漠然と思ってた。
「例えば、もし田中さんが、給与計算を巡って『こんな話は聞いていない!』と主張したら? あるいは、過労で体調を崩し、ビジラボの責任だと訴えてきたら? その時、青木さんは『口約束でした』と言って、法的な責任から逃れることはできません。むしろ、『労働契約書』がないことで、青木さんの会社の方が不利な立場に立たされる可能性が高いのです」
斉藤が、静かに頷きながら、俺に語りかけた。
「社長、経理としては、給与計算や社会保険の手続きを進めるにも、きちんとした労働条件が明記された書面がないと、後々税務上も労務上も困ります。例えば、雇用保険や社会保険に加入させるにも、労働時間や賃金が明確になっていないと手続きが進められません」
「そ、そうか…社会保険か…」
会社設立時に、斉藤が「社会保険の手続きが必要です」と言っていたのを、かすかに思い出した。あの時も、細かいことはよく分からないまま「よろしく!」で押し切っていた気がする。俺の楽天的な性格が、こんなところでも足かせになっているなんて…。
田中くんも、少し不安そうに俺の顔を見ている。 俺は、この青年の夢を、俺の無知のせいで台無しにするわけにはいかない。 人を雇う、ということは、その人の人生の一部を会社に預かってもらうということだ。その重みを、今、ようやく理解した気がする。
「神崎さん…分かりました。俺が完全に間違ってました。まずは、田中くんと正式な『労働契約書』を結ぶところから、ですよね?」
俺は真っ直ぐに神崎さんを見つめて、そう言った。 神崎さんは、わずかに口元を緩めた。
「はい。それが、青木さんが経営者として、田中さん、そして今後増えるであろう従業員の方々に対して負うべき、最も基本的な責任であり、義務です。労働契約書には、賃金、労働時間、就業場所、業務内容など、重要な労働条件を明示しなければなりません。そして、その内容は、『労働基準法』を下回るものであってはならない、ということを肝に銘じてください」
小さな一歩、大きな責任。ビジラボ、次のステージへ
俺はすぐに、斉藤と神崎さんの協力を得て、労働契約書の作成に取り掛かった。 神崎さんのアドバイスを受けながら、ビジラボの現状と将来を見据え、田中くんに最適な労働条件を慎重に検討する。 給与、勤務時間、休日、有給休暇の発生条件、残業代の計算方法、社会保険、そして試用期間中の評価基準。一つ一つの項目が、俺にとっての新たな学びだった。
「社長、これでどうでしょうか?」
斉藤が作成した契約書の雛形には、神崎さんの修正が赤字で何箇所か入っていた。 俺はそれを読み込み、田中くんに説明する。
「田中くん。本当にごめん。俺、全然分かってなくて。でも、この契約書が、俺たちがこれからも信頼し合って、一緒にビジラボを成長させていくための大切な約束事なんだ。ここに書いてあることは、一つ一つ、ちゃんと守るから」
田中くんは、真剣な表情で契約書を読み込んでいたが、やがて顔を上げて、小さく微笑んだ。
「青木社長。ありがとうございます。これで安心して、開発に集中できます」
その言葉に、俺は心底ホッとした。 法律なんて面倒だ、と思っていた俺だが、今、この瞬間、法律が「俺と田中くんを守るための盾」になっていることを実感した。 人を雇う覚悟。それは、決して情熱だけでは成り立たない。 「法律」という、時には厳しく、時には複雑な「ルール」を理解し、それを遵守する覚悟がなければ、決してビジョンは実現しない。 ビジラボは、今日、初めての社員を迎えると共に、経営者としての俺も、法務という荒波の中で、一歩だけ前に進んだ。 労働契約、マジでヤバいけど、やるしかねぇ…。俺の戦いは、まだまだ始まったばかりだ。
2. 記事のまとめ (Summary & Review)
📚 今回の学び(神崎メンターの総括)
[学習ポイント1]: 労働契約は口頭でも成立するが、書面化は必須。後々のトラブル防止、労働条件の明確化、使用者と労働者双方の保護のためにも、労働契約書は必ず締結すること。
[学習ポイント2]: 労働者は法律によって手厚く保護されている。特に「労働基準法」は労働条件の最低基準を定め、「労働契約法」は個別の労働契約の基本ルールを規定する。これら法律を下回る契約は無効となる。
[学習ポイント3]: 「就業規則」は職場のルールブック。従業員が10人未満でも作成・周知することが、労使トラブルを未然に防ぎ、公正な職場環境を構築する上で非常に重要である。
今週のリーガルマインド(神崎の教訓) 「人を雇うということは、その人の人生と未来に、会社として責任を負うということです。情熱だけではその責任は果たせません。法律は、その重い責任を全うするための『羅針盤』であり、『盾』となる。これを理解し、遵守することこそが、真の経営者の覚悟です。」
💭 青木の気づき(俺の学び)
- 「マジかよ、人を雇うって、こんなに大変なのか…。ただ『よろしく!』って握手するだけじゃダメなんだ。田中くんの人生を預かるんだから、俺が法律を守って、ちゃんとルールを作ってやらないと。法律って、単なる『面倒な制限』じゃなくて、俺たちを守るための『頼れるツール』なんだな。この羅針盤、ちゃんと読めるようにならねえと、ビジラボは嵐の海に沈んじまうぞ…!」
3. 次回予告 (Next Episode)
🔮 次回予告
無事に田中くんとの労働契約書も交わし、一安心した俺。田中くんも張り切って開発に取り組んでくれている。しかし、日を追うごとに、彼の作業時間は深夜にまで及ぶようになってきた。「田中くん、本当に偉いな!情熱に溢れてる!」と感心する俺だったが、斉藤と神崎さんが「社長、その認識は危ない」と、再び警告を放つ。どうやら、人を雇う上で避けては通れない「労働時間」という、新たな壁が目の前に立ちはだかっているらしい…。次回: 第11回 どこまでが「労働時間」? 休憩と休日のルール

