騙された!この契約、ナシにできる?「詐欺」「強迫」と「公序良俗」

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ここで学べる学習用語:詐欺、強迫、公序良俗

「必ず成功する投資案件がここにあります!」「今だけ特別優待!このチャンスを逃す手はありませんよ、社長!」

甘い囁きが、俺の耳元で響く。スタートアップの経営は常に資金繰りとの戦い。藁にもすがる思いで、怪しいコンサルタント「ドリーム・メイカーズ」のセミナーに参加してしまったのが運の尽きだった。危うくサインしかけた契約書には、ビジラボの未来を闇に葬り去るような罠が隠されていたのだ。このままじゃ、俺たちの会社、そして俺自身が破滅する――。第18回、青木健一、絶体絶命のピンチを法務の力で乗り越えられるのか!?


悪魔の囁き、そして絶望の淵へ

「青木社長、ビジラボ様の今後の飛躍には、まさに弊社のような外部ブレインが必要不可欠です。この『スーパーグロース戦略パッケージ』は、御社の市場価値を一気に引き上げる魔法の杖となるでしょう!」

俺の目の前で、ドリーム・メイカーズの営業マン、大山が熱弁を振るっていた。ギラギラとした瞳の奥には、確かな自信と、いやらしいまでの金の匂いがした。場所は、俺がセミナー終わりに連れて行かれた、都内の一等地にあるホテルのラウンジ。重厚なソファに体を沈めながら、俺はテーブルに置かれた契約書を眺めていた。

ビジラボは順調に成長している、と自分では思っていた。田中くんが開発したSaaSは少しずつユーザーを増やし、俺の営業努力もあって、大手企業との提携話もちらほら出てきている。だが、同時に焦りも感じていた。世の中のスタートアップは、もっとすごいスピードで資金調達し、規模を拡大している。このままで本当に、俺たちの「世界を変える」という夢は実現できるんだろうか?

「見てください、この成功事例の数々を!昨年、弊社がコンサルティングを手掛けたA社は、わずか半年で上場を果たしました。B社に至っては、わずか3ヶ月で事業売却、創業者利益は〇億円ですよ!」

大山が差し出した資料には、派手なグラフと、にこやかな顔でガッツポーズをする社長たちの写真が並んでいた。俺の頭の中は、「上場」「事業売却」「〇億円」というキーワードで埋め尽くされ、完全に思考停止状態だった。

「青木社長のビジラボ様も、この波に乗るべきです。今なら、特別に初期費用半額、しかも成果報酬型のプランもご用意できます。ただし、このプランは先着3社様限定でして、本日中にご決断いただければ…」

「本日中」。この言葉が、俺の判断力をさらに鈍らせた。俺は営業マンだ。チャンスは逃しちゃいけない、と体が反射的に反応する。だが、どこか心の奥底で警鐘が鳴っていた。金額は、年額3000万円。いくら成果報酬型とはいえ、ビジラボにとっては破格の大金だ。しかも、契約書には「本契約締結後はいかなる理由があっても契約解除はできない」「解約の場合、残存期間のコンサルティング費用を一括で支払う」といった、一方的すぎる条項が並んでいる。

「いや、でも、もし、もしですよ、大山さん。仮に成果が出なかった場合でも、この金額は払わないといけない、ってことですよね?」 俺は震える声で質問した。

大山は、ニヤリと笑った。 「青木社長。私を信じてください。いえ、ドリーム・メイカーズを信じてください。弊社のプログラムに従えば、成功は約束されています。これは、未来への『投資』ですよ。投資にリスクはつきものですが、弊社が提供するのは、リスクを最小限に抑えた『確実な投資』です。社長の情熱と、弊社のノウハウがあれば、鬼に金棒。迷う理由などありません」

「リスクを最小限に抑えた確実な投資」。矛盾しているように聞こえるのに、その時はなぜか「なるほど」と納得してしまった。焦っていたんだ。とにかく、早くビジラボを大きくしたい。その一心で、俺はペンを取りかけた。その瞬間、スマホが震えた。斉藤からのメッセージだった。

『社長、今月の経費精算、ちょっと厳しいです…特に〇〇費が想定外で。』

斉藤のメッセージを見て、俺はハッとした。冷静になれ、俺。3000万円だぞ。今のビジラボにとって、どれだけ大きな金額か。もし、これが詐欺まがいの契約だったら?俺は冷や汗がドッと吹き出すのを感じた。

「あの、大山さん、すいません。やっぱり一度、社内で検討させてください。さすがに即決は…」 俺は勇気を振り絞って言った。

大山は一瞬、表情を凍らせたが、すぐににこやかな営業スマイルに戻った。 「そうですか。それは残念です。ですが、青木社長のビジネスへの真摯な姿勢、大変感銘を受けました。わかりました、では、また改めてご連絡させていただきます。本日お渡しした資料は、ぜひお持ち帰りください」

大山はそう言って、俺をラウンジの入り口まで見送ってくれた。ホッとしたのと同時に、俺は自分の判断力の甘さにゲンナリした。あんな怪しい契約書に、もう少しでサインするところだった。危なかった、本当に。 オフィスに戻ると、斉藤が心配そうな顔で俺を見ていた。

「社長、大丈夫でしたか?なんか、すごい怪しいセミナーに行ってたみたいですけど…」

俺は斉藤に、今日の経緯を正直に話した。あのまま契約していたら、ビジラボは確実に破産していたと。斉藤は、俺から受け取ったドリーム・メイカーズの資料と契約書のコピーを黙って読んでいた。そして、読み終えた斉藤は、顔を上げてきっぱりと言った。

「社長、これ、どう見てもおかしいです。あまりにも一方的すぎる。この契約、たとえサインしてしまったとしても、もしかしたら『なかったこと』にできるかもしれません。弁護士に相談を…」

「え、なかったこと?そんなことできるんですか?」 俺は驚いた。契約は一度結んだら最後、絶対的なものだとばかり思っていたからだ。その時、ちょうどオフィスに、神崎さんが現れた。

冷徹なる現実:斉藤の警告と神崎の登場

「あら、斉藤さん、青木さん。お疲れ様です。少し顔色が悪いようですが、何かありましたか?」 いつものように冷静で、それでいて全てを見透かすような神崎さんの声に、俺は少し怯んだ。斉藤は、俺から預かった資料を神崎さんに差し出した。

「神崎さん、ちょうど良かった。社長が今、こういう怪しいコンサルと契約しそうになっていたんです。この内容、法的に見てどうなんでしょうか…?」

神崎さんは、斉藤から資料を受け取ると、いつものようにスッと目を通した。そして、ページをめくるごとに、その端正な顔が少しずつ曇っていくのがわかった。

「…なるほど。青木さん、これはかなり危ない橋を渡るところでしたね」 神崎さんの声は、いつもよりも一段と低く、冷たかった。俺は思わずゴクリと唾を飲んだ。

「この契約書の内容を総合的に見ると、非常に悪質と言わざるを得ません。状況によっては、この契約は『詐欺』による取消し、あるいは『強迫』による取消し、さらには内容自体が『公序良俗違反』として無効になる可能性が高いです」

「さ、詐欺?強迫?公序良俗違反?なんすかそれ!」 俺は頭の中が真っ白になった。前回(第17回)で学んだ『意思表示』が、当事者の思い通りにならないこともある、とは知っていた。でも、まさかこんなに身近なビジネスで、そんな言葉が出てくるとは思ってもみなかった。

「その様子だと、まだこれらの概念についてはご存じないようですね。青木さん、契約というのは、当事者の自由な意思に基づいて成立するものです。しかし、その意思が不当に形成されたり、契約の内容自体が社会のルールに反していたりする場合には、法律はその契約の有効性を否定することがあります。それが、今私が申し上げた『詐欺』『強迫』、そして『公序良俗違反』といった概念です」

神崎さんは、淡々とした口調でそう言った。俺は、その言葉の重みに、改めて法律の奥深さと、自分の無知を思い知らされた。契約自由の原則なんて、俺みたいな素人には、危なすぎるナイフだった。

神崎の法務レクチャー:契約を「なかったこと」にする法

「青木さん、落ち着いてください。今から、あなたの契約を『なかったこと』にする、あるいは最初から『なかったもの』として扱うための、非常に重要な法律の概念を解説します」

神崎さんの言葉は、俺をさらに混乱させる。なかったこと? なかったもの? 一体どういうことだ。

「まず、今日のケースで最も可能性が高いのは、『詐欺』による契約の取消しです」

「詐欺、ですか。大山さんが俺を騙そうとしたってことですか?」

「そうです。民法では、人を騙して意思表示をさせた場合、その意思表示は取り消すことができると定めています。例えば、このドリーム・メイカーズの営業マンが大山が、『必ず成功する』『リスクはゼロ』などと、事実と異なることを説明し、それを信じ込ませて契約を結ばせようとしたのであれば、それは詐欺に該当する可能性が高いでしょう」

【神崎の補足解説】詐欺(さぎ)とは?

相手方を欺罔(ぎもう)する行為によって、その相手方が錯誤に陥り、その錯誤に基づいて意思表示をした場合を指します。民法96条1項により、詐欺による意思表示は取り消すことができます。この「欺罔行為」とは、嘘をついたり、重要な事実を隠したりすることです。スタートアップにおいては、虚偽の説明で投資を受けたり、他社と不当な契約を結んだりするケースが考えられます。もし詐欺に遭った場合、被害者は契約を取り消し、損害賠償を請求できる可能性があります。ただし、詐欺によって契約した後に、その契約に基づいて第三者が新たな権利を得ていた場合、その第三者が詐欺について知らなかった(善意だった)ときは、その第三者に対して契約の取消しを主張できない場合があります(民法96条3項)。

「要するに、大山が俺を騙して、俺がその嘘を信じてサインしちゃったら、俺は『やっぱりあの契約なしで!』って言えるってことですか?」

「概ねその通りです。ただし、取消しには、騙されたことに気づいてから、あるいはそのことに気づくべきだった時から一定の期間内に行う必要があります(追認できる時から5年、行為の時から20年)。そして、青木さんのケースで重要なのは、彼らの言動が本当に『詐欺』と認定できるか、という点です」

「『必ず成功する』とか『リスクゼロ』っていうのは、普通に営業トークとして使われることなんじゃ…?」

「青木さん、それは良い質問(疑問)ですね。確かに、営業トークには誇張表現がつきものです。しかし、その誇張が度を超え、客観的に見て事実と異なることを意図的に告げ、それによって相手を錯誤に陥れ、意思表示をさせた場合には詐欺となります。例えば、『実績ゼロのコンサルが、実績があるかのように虚偽の成功事例を見せる』『法的に問題のあるスキームを、安全であるかのように説明する』といったケースです。青木さんが提供された資料の内容を精査し、虚偽の記載がないか、客観的な根拠のない誇大な表現がないかを確認する必要があります」

「なるほど…確かに、なんかやたらと派手なグラフばっかりで、具体的に何をどうするかっていう説明は曖昧だったような…」

「次に、『強迫』による取消しの可能性も考えられます。これは詐欺よりもさらに悪質なケースです」

「強迫…脅されたってことですか?」

「そうです。例えば、『契約しないと、あなたの会社の悪い噂を業界中にばらまくぞ』とか、『あなたの家族に何かあっても知らないぞ』などと脅されて、怖くなって契約を結んでしまった場合です」

【神崎の補足解説】強迫(きょうはく)とは?

相手方が畏怖するような違法な行為によって、その相手方が恐怖を感じ、その恐怖に基づいて意思表示をした場合を指します。民法96条1項により、強迫による意思表示は取り消すことができます。詐欺とは異なり、強迫の場合は第三者が強迫について知らなかった(善意だった)としても、その第三者に対して契約の取消しを主張することができます。これは、人の意思形成の自由を著しく侵害する強迫行為が悪質であるため、被害者の保護がより強く図られるためです。スタートアップにおいては、不当な取引先や反社会的勢力から脅されて不利な契約を結ばされるといったケースが考えられます。

「ええっ、そんなの、まさにヤクザじゃないですか!今日のところは脅されてないですけど…でも、『このチャンスを逃したら、お宅の会社は二度と浮上できませんよ』みたいなことは言われましたけど…」

「それは、強迫とまでは言えないでしょう。しかし、もし契約しないと不利益があるかのように一方的にプレッシャーをかけ続け、その状況で青木さんが心理的に追い詰められ、自由な意思決定ができない状況に陥っていたとしたら、強迫に準ずるような状況と評価される可能性もゼロではありません。しかし、一般的には、明確な生命・身体・財産に対する危害を加えるぞ、というような脅しが必要です」

「そうか、そこまではなかった…でも、危うく詐欺に引っかかるところだったってことですよね。怖えぇ…」

「そして、青木さんのケースで、もう一つ非常に重要な概念があります。それは、契約の内容自体が『公序良俗違反』として無効になる可能性です」

「公序良俗?なんですかそれ。なんか、公共の秩序とか善良な風俗ってやつですか?」 俺は、何となく言葉の響きから連想される意味を口にしてみた。

「その通りです、青木さん。民法90条に定められている重要な原則です。いくら当事者の合意があったとしても、その契約の内容が社会の健全な秩序や道徳に著しく反する場合には、その契約は法律上『無効』となります」

【神崎の補足解説】公序良俗(こうじょりょうぞく)とは?

「公の秩序又は善良の風俗」の略で、社会の一般的道徳観念や倫理観、公共の利益を指します(民法90条)。契約内容がこの公序良俗に反する場合、その契約は法律上無効となります。無効とは、契約が最初から存在しなかったものとして扱われることであり、誰でも、いつでもその無効を主張できます。スタートアップにおいては、反社会勢力との契約、不法行為を目的とする契約、極端な暴利行為、人権侵害的な契約(例:一生結婚しない契約)などが該当します。青木さんのケースのように、合理的な理由なく過剰に高額な報酬を要求する契約も、暴利行為として公序良俗違反と判断される可能性があります。

「無効…ってことは、詐欺や強迫で『取り消し』ができるのとはまた違うんですか?」

「良い質問です、青木さん。まさにそこがポイントです。詐欺や強迫による意思表示は『取消し』ができます。取消しというのは、一度有効に成立した契約を、遡って無効にするというものです。そのため、取り消すかどうかは、詐欺や強迫を受けた本人の意思にかかっています。本人が取り消さないと決めれば、有効なままです。しかし、『公序良俗違反』の契約は、最初から『無効』なのです。これは誰が主張しなくても、法律上、その契約は存在しないものとして扱われます。非常に強力な概念です」

「え、最初から存在しないって…それって、俺がもしあの契約にサインしちゃってても、『はい、無効!』って言えるってことですか?」

「そうです。例えば、青木さんのケースで、ドリーム・メイカーズが提示した『スーパーグロース戦略パッケージ』の内容が、実質的に何の実績も伴わないにもかかわらず、高額すぎる報酬を要求するものであったり、あるいは非合法な手法を推奨するものであったりする場合には、その契約は『暴利行為』として、または『不法行為を助長する行為』として公序良俗に反すると判断され、無効になる可能性があります」

「暴利行為…?」

「はい。例えば、著しく均衡を失した対価を求める契約で、しかも相手の窮状につけ込んだような悪質なものであれば、公序良俗違反と認定されることがあります。青木さんが『ビジラボを成長させたい』という焦りや知識不足につけ込まれ、合理性のない高額な報酬を支払わされるような内容であれば、まさにその可能性が出てくるでしょう。契約書に解除が不可能であるとか、常に不合理に青木さん側に不利益があるような条項ばかりが並んでいるのも、公序良俗違反の一つの証拠になりえます」

「つまり…俺が騙された(詐欺)なら取消し、脅された(強迫)なら取消し、そして、もし契約の内容が社会的に見てあまりにも酷い(公序良俗違反)なら、そもそも無効。そう、理解しておけばいいってことっすか?」

「その通りです、青木さん。よく理解できましたね。詐欺や強迫は、契約の意思表示に至るプロセスに問題がある場合。公序良俗違反は、契約の内容そのものに問題がある場合、と覚えておくと良いでしょう。そして、これらの知識が、あなたを不当な契約から守る『盾』となるのです」

神崎さんの言葉に、俺は深く頷いた。法律って、本当に俺たちを守るためにあるんだな、と改めて実感した。

契約の闇と、俺の決断

「要は、騙されたり脅されたり、あまりにも酷い契約は、法的に『ナシ』にできるってことっすよね?俺が危うくサインしそうになってたあの契約書は、神崎さんの説明を聞く限り、まさにその可能性が高いってことなんすね!」

俺は興奮気味に、自分の言葉で理解したことを神崎さんに伝えた。自分の無知につけ込んで、スタートアップの未来を食い物にしようとする奴らがいるんだ。悔しさと同時に、法的な知識が俺を守ってくれる、という事実に安堵した。

「概ねその認識で問題ありません。ただし、取消しや無効の主張には、明確な証拠と適切な手続きが必要です。例えば、詐欺の場合、相手があなたを騙そうとしたという事実を証明しなければなりません。ドリーム・メイカーズの具体的な虚偽説明の録音やメモ、客観的な根拠のない誇大広告、一方的な契約条項などが証拠となり得ます。強迫の場合はさらに明確な証拠が必要になりますし、公序良俗違反も、その契約内容が社会的に許容できないほど悪質であるということを、客観的に示す必要があります」

神崎さんは冷静に補足した。確かに、感情だけで「騙された!」と叫んでも、誰も信じてくれないだろう。法律は証拠が全てだ。俺は、大山が差し出した資料や、セミナーで聞いた説明の内容を思い出しながら、必死で記憶を辿った。

「そうか、証拠か…あの資料とか、話してた内容とか、全部記録しておけばよかった…!」 俺は頭を抱えた。自分の脇の甘さに、またもや絶望しそうになる。

「しかし、今回は実際に契約を結ぶ前に相談に来てくださった。これだけでも、大きな損失を回避できたと言えるでしょう。青木さん、今後、ビジネスを進める上で、特に資金や重要な情報のやり取りが発生する契約においては、必ず内容を精査し、少しでも疑問に感じたら、すぐに私や斉藤さんに相談してください。焦りや感情に流されて、安易にサインすることは、あなたの会社にとって『致命的』なリスクとなり得ます」

神崎さんの言葉は、優しくも厳しかった。俺は、自分が危うくビジラボを破滅させるところだったという事実に、改めて震え上がった。本当に危なかった。もし今日、神崎さんがいなかったら、俺は今頃、巨額の負債を抱え、後悔の念に苛まれていたかもしれない。

「はい、神崎さん…もう二度と、甘い言葉には騙されねぇ。そして、契約書はちゃんと読む。読んでもわかんなかったら、すぐ相談します!本当にありがとうございます!」

俺は心から感謝を伝えた。法務知識は、ただの「ルール」じゃない。それは、ビジネスの荒波を航海する俺たちを守る「盾」であり、時には「羅針盤」になる。今日、俺はそれを痛感した。ドリーム・メイカーズのような悪意ある輩から、俺たちの夢を守るために。

法の盾、ビジネスの光

怪しいコンサル「ドリーム・メイカーズ」との契約は、間一髪で回避できた。俺は、神崎さんと斉藤に感謝し、改めて契約書の重要性と、そこに潜むリスクについて深く理解することができた。

「いやー、マジで助かりました、神崎さん。斉藤さんも、最初に怪しいって言ってくれてありがとうな」 俺は心底ホッとして、大きく息を吐いた。

斉藤は苦笑いしながら、「社長、今後は契約書を交わす前に必ず一度、私に見せてください。法務の専門家じゃないですけど、経理の視点から見てもおかしい契約はわかりますから」と、現実的なアドバイスをくれた。

神崎さんは、いつものように冷静な表情で頷いた。 「そうですね。ビジネスにおいて、契約は非常に重要な役割を果たします。しかし、その契約が公正でなければ、かえってあなた方を窮地に陥れることにもなりかねません。法律を知ることは、このような不当な契約から身を守るための、最も強力な武器です。そして、法律は時に、あなたのビジネスをより有利に進めるための『戦略』にもなり得るのです」

法律が「戦略」になる。その言葉が、俺の胸に響いた。これまでは「法律=縛られるもの」というイメージが強かった。でも、今日学んだ「詐欺」「強迫」「公序良俗」の概念は、法律が俺たちを守る「盾」になることを教えてくれた。そして、いつかはこの「盾」を「矛」に変え、ビジラボの成長のために法律を使いこなせるようになりたい、と強く思った。

「法務、マジでヤバいけど、やるしかねぇ…。俺たちのビジラボを、悪い奴らから守り抜くぞ!」

俺は改めて、経営者としての覚悟を胸に刻んだ。法律は、経営者にとって避けては通れない道だ。今日の学びを糧に、俺はまた一つ、経営者として成長できた気がする。


2. 記事のまとめ (Summary & Review)

📚 今回の学び(神崎メンターの総括)

  • [学習ポイント1]: 契約は一度成立したら絶対、というわけではない。意思表示に問題があったり、契約内容が社会的に許容できない場合には、法律によってその効力が否定されることがある。

  • [学習ポイント2]: 「詐欺」や「強迫」による意思表示は「取消し」が可能。ただし、詐欺による取消しは善意の第三者に対抗できない場合があるため注意が必要。

  • [学習ポイント3]: 契約内容が「公序良俗」に反する場合、その契約は最初から「無効」となる。これは取消しよりも強力で、誰でも、いつでも主張できる。暴利行為などもこれに該当しうる。

今週のリーガルマインド(神崎の教訓) 「契約は、あなたのビジネスの『約束事』であると同時に、『責任の範囲』を定めるものです。その約束が公正であるか、責任が合理的であるかを吟味する目を養わなければ、あなたの情熱が、不当な契約によって潰されてしまうことになりかねません。法律は、あなたを守るための強力な盾であることを忘れないでください。」

💭 青木の気づき(俺の学び)

  • 「契約書」ってのは、ただの紙切れじゃねぇんだな。俺たちの夢を守る「砦」にもなるし、間違えば俺たちの首を絞める「罠」にもなる。特に、焦ってるときほど、甘い言葉に騙されそうになるから、冷静な判断と、信頼できる相談相手(神崎さんや斉藤さん)が本当に大事だ。
  • 「詐欺」とか「強迫」って、ドラマの中の話だと思ってたけど、ビジネスの現場でも、俺みたいな素人はすぐに狙われるんだ。自分の身は自分で守るって意味でも、法律の知識は絶対に必要だ。

3. 次回予告 (Next Episode)

怪しいコンサルとの契約を回避できた俺は、ビジラボのSaaSサービスをいよいよ一般消費者(個人事業主)向けにも販売開始することを決めた。しかし、田中くんが作成した利用規約の草案を見た神崎さんは、眉をひそめてこう言った。「青木さん、これでは『消費者契約法』に違反する可能性があります。このままでは、せっかくの規約も無効になる条項ばかりですよ。」

一体どういうことだ!?俺たちのサービスは、一般消費者を守る法律の壁に阻まれてしまうのか!?

次回: 第19回 弱者を守る! 消費者契約法と定型約款

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